今回は「抜く」の言い換えや類語を紹介します。
「抜く」とは、差し込まれたものを引き出すこと、また不要なものを取り除いたり、他を追い越したりすることを幅広く表す動詞です。

「抜く」は「省く」「除く」「追い越す」「引き出す」など場面によって意味が全然違うので、文脈に合った言い換えを使い分けると表現がぐっと明確になります。
ビジネスや文章では「割愛する」「除外する」、スポーツや競争なら「追い抜く」、物理的な取り出しには「引き抜く」「抽出する」など、用途に応じた言葉があります。
この記事では「抜く」の言い換えを15語紹介しています。気になる方は記事の続きへどうぞ。
「抜く」の”フォーマルな”言い換え・類語!ビジネスや書き言葉で使える表現を紹介
まずは「抜く」のフォーマルな言い換え・類語を紹介します。
報告書・ビジネスメール・ スピーチなど改まった場面では、状況に応じた言い換えを選ぶと意図が正確に伝わります。
①省く(はぶく)


省く=不要な部分を取り除いて手間や時間を減らすこと
「省く」は「手間を省く」「工程を省く」のように、余分な部分を除いて効率化する意味で使われる汎用的な言い換えです。
「抜く」の「省略・除外」の意味に対応しており、ビジネス文書でも違和感なく使えます。



今回のプレゼンは時間の関係で詳細説明を省き、要点のみに絞った構成にしました。
②除く(のぞく)


除く=対象から外して含めないようにすること
「除く」は「一定の条件にある対象を外す」という意味で、「〜を除いた金額」「土日を除く」のように範囲を限定する場面で頻繁に使います。
「省く」が効率化目的なのに対し、「除く」は「特定の対象を意図的に外す」というニュアンスが強い点が異なります。



税込み価格から送料を除いた金額が実際の商品代金になります。
③割愛する(かつあいする)


割愛する=本当は残したいが、やむを得ず省略すること
「割愛する」はスピーチや発表の場でよく使われる表現で、「本来は含めたいが時間・都合の事情により省く」という惜しむ気持ちが込められています。
「詳細は割愛します」「説明は割愛させていただきます」のように、聞き手への配慮を示しながら省略を伝えるフォーマルな表現です。



今回は時間の都合上、個別の事例説明は割愛させていただきます。資料をご参照ください。
④除外する(じょがいする)


除外する=対象の範囲や集合から特定のものを取り出して外すこと
「除外する」は「除く」よりも明示的に「意図的に対象から外す」ことを表し、条件設定や規定の文脈でよく使われます。
「対象から除外する」「リストから除外する」のように、正式な手続きや明確な判断として取り除く場面に適しています。



この調査では特定の条件を満たさないサンプルを除外して集計しました。
⑤取り除く(とりのぞく)


取り除く=邪魔なもの・不要なものを物理的・比喩的に外すこと
「取り除く」は物理的な除去(障害物を取り除く)にも、比喩的な解消(不安を取り除く)にも使える汎用性の高い言い換えです。
「原因を取り除く」「不安材料を取り除く」のように問題解消の文脈でも自然に使えます。



この箇所のバグを取り除けば、システム全体がスムーズに動くはずです。
⑥除去する(じょきょする)


除去する=完全に取り除いて痕跡をなくすこと(技術・医療・化学分野によく使う)
「除去する」は「取り除く」よりも完全かつ徹底的に排除するニュアンスがあり、技術・医療・科学分野でよく使われます。
「汚染物質を除去する」「シミを除去する」「ウイルスを除去する」など、専門的な処置を表す場面に向いています。



この薬剤は体内の有害成分を除去する効果があるとされています。
⑦撤去する(てっきょする)


撤去する=設置されているものを取り外して別の場所へ移すまたは廃棄すること
「撤去する」は設備・構造物・看板など「設置されていたものを引き抜く・取り外す」という意味に特化した言い換えです。
「古い設備を撤去する」「無断駐車を撤去する」のように、物理的に場所から取り外す行為に使います。



駐輪禁止区域に放置された自転車は撤去されることがあります。
⑧引き抜く(ひきぬく)


引き抜く=差し込まれているものを力を込めて引き出すこと、または人材を別組織からスカウトすること
「引き抜く」は物理的に「根元から力強く引いて取り出す」意味と、「他社から優秀な人材をスカウトする」という比喩的な意味の両方で使われます。
ビジネス文脈では「競合他社から優秀な人材を引き抜いた」のように、ヘッドハンティングを指す言葉としてよく登場します。



うちのエースが大手企業に引き抜かれてしまった。待遇の差が大きすぎて引き止められなかった。
⑨抽出する(ちゅうしゅつする)


抽出する=多くの中から特定のものだけを取り出すこと(データ・成分・サンプルなど)
「抽出する」は「必要な部分・成分・データだけを選び出して取り出す」という意味で、分析・研究・情報処理の文脈でよく使われます。
「エッセンスを抽出する」「データを抽出する」「サンプルを抽出する」のように、多くの中から目的のものを引き出す場面に適しています。



このツールを使うと、アンケート結果から年代別のデータを簡単に抽出できます。
⑩追い抜く(おいぬく)


追い抜く=前を行く相手を追い越して先に出ること(競争・順位の場面)
「追い抜く」は競走や市場での競争において「相手を超えて前に出る」という意味の言い換えで、「抜く」の「追い越す」という意味に対応します。
「ランキングで追い抜く」「競合他社を追い抜く」のように、スポーツやビジネスの競争文脈で使います。



今期の売上でついに業界2位を追い抜いて、国内シェア首位に立てました。
「抜く」の”カジュアルな”言い換え・類語!日常会話やSNSで使いやすい表現を紹介
続いて「抜く」のカジュアルな言い換え・類語を紹介します。
口語・チャット・日常会話で自然に使える表現を集めました。
⑪カットする


カットする=取り除く・省く(英語由来の口語的な表現)
「カットする」は英語の “cut” から来た表現で、「省く・除く・削る」という意味を軽いニュアンスで伝えられます。
「この部分カットしていい?」「予算をカットした」のように、話し言葉やチャットでの省略・削除の場面によく使われます。



動画の冒頭が長すぎるからここの部分カットしてもらえる? 3分くらいから始まると見やすいと思う。
⑫スキップする


スキップする=特定の部分を飛ばして進むこと
「スキップする」は「順番や手順の特定部分を飛ばして先に進む」という意味で、動画・ゲーム・説明の場面でよく使われます。
「イントロをスキップする」「この工程はスキップできます」のように、省略を積極的な選択として表したい場合に向いています。



知ってる話は全部スキップして先に進んでいいよ。だいたいの流れは分かってるから。
⑬飛ばす(とばす)


飛ばす=特定の箇所を読まず・やらずに次に移ること
「飛ばす」は「読み飛ばす」「説明を飛ばす」のように、途中の手順や内容を省いて先へ進む場面で使われるカジュアルな表現です。
「面倒なところは飛ばして結論だけ見る」「細かい説明は飛ばします」のように、手軽さや速度を重視した省略の言い方です。



最初の導入部分は知っている内容だったので飛ばして、核心部分から読み始めました。
⑭パスする


パスする=参加・実行を見送る・遠慮すること(口語)
「パスする」は英語の “pass” から来た表現で、「今回はやめておく・お断りする・見送る」という意味でカジュアルに使われます。
「今日の飲み会はパスする」「その問題はパスしていい?」のように、固い断り方をしたくない場面に向いています。



今週の飲み会はちょっとパスしていいですか? 来週なら行けます。
⑮間引く(まびく)


間引く=詰まりすぎているものを選んで減らすこと(元は農業用語)
「間引く」はもともと植物を育てる際に育ちすぎた芽を選んで抜き取る農業用語ですが、現代では「多すぎるものの一部を抜いて減らす」という比喩表現でも使われます。
「会議の回数を間引く」「運行本数を間引く」「スケジュールを間引く」のように、過密状態を整理して適度な量に調整する場面に向いています。



毎週だった定例会議を隔週に間引くことにしました。少し業務に余裕が生まれそうです。
「抜く」の豆知識・ちょっといい話
「抜く」にまつわる、ちょっと面白い話を2つ紹介します。
①「割愛する」が「省きます」より丁寧に聞こえる理由
「割愛する」はよく使われますが、元の意味は「愛着があるものを断ち切って手放す(割く+愛)」という、惜しむ気持ちを含んだ言葉です。
「割」は「断ち切る」、「愛」は「愛惜・惜しむ」という意味を持ちます。つまり「割愛する」は単なる省略ではなく「本当は入れたかったけれど泣く泣く省く」というニュアンスです。
「詳細は割愛します」と言われると聞き手は「本来は説明したかったけれど時間の都合で…」という配慮を感じ取れます。ただの「省きます」より丁寧な印象になるのはそのためです。



「割愛」って「愛着があるものを切り捨てる」という意味だったの? スピーチでよく聞くけど、そんな深い意味があるとは知らなかった。
②「抜群」の「抜」は「群れを抜きん出る」という意味
「抜群(ばつぐん)」はよく見かける言葉ですが、「抜」は「群れの中から飛び出て突出する」という意味で使われています。
「群(ぐん)を抜く」=「他より際立って優れている」という意味がそのまま熟語になったもので、「抜群の成績」「抜群のセンス」のように現代でも活躍中です。
「抜く」には「余分なものを除く」だけでなく「群れを飛び出す・突出する」という意味もあり、「抜群」「抜粋(ばっすい)」などの熟語がそのニュアンスを受け継いでいます。



「抜粋」も「抜群」も「抜く」から来てるんですね。言葉のつながりが見えると覚えやすい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今回紹介した中から、場面に合う「抜く」の言い換えが見つかれば幸いです。