今回は「ぎこちない」という言葉について解説します!
「ぎこちない」には2つの意味があります。
①動作や言葉がたどたどしく不自然な様子
②衣服などが体に馴染まず、具合が悪い様子
「彼の運転はぎこちないね!」みたいに使うよ!
「ぎこちない」は、古語の「こちなし」と漢語の「気骨」または「詰屈」を組み合わせた言葉のようです。
この記事では「ぎこちない」という言葉の詳しい意味や由来、使われ方などについても深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ!
ぎこちないとは?意味は、緊張のせいで挙動不審?衣服の着心地が悪い?
「ぎこちない」の意味=「動作や言葉がたどたどしく不自然」「衣服などが体に馴染まず具合が悪い」
ぎこちないとは不慣れや緊張感から、動作や言葉使いが滑らかでなく不自然になるという意味の言葉です。プレッシャーを感じていつものように話せない、動けないといった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
小林多喜二の文学作品『一九二八年三月十五日』ではその意味での「ぎこちない」が使われていました。
「彼はぎこちなく首を曲げて、じっとしてゐた」
引用:一九二八・三・一五(1928)〈小林多喜二〉より
また、衣服などが体にフィットせず、着心地が悪いといった意味でも使用します。新しく買った服や麻素材の服、ノリの効いたワイシャツなどをイメージするとわかりやすいですね。
明治時代の小説家、斎藤緑雨の『おぼろ夜』では布団が体に馴染まない様子をあらわす言葉として使われています。
「重ねても薄綿もめん蒲団のたださへぎごちないに」
引用:おぼろ夜(1899)〈斎藤緑雨〉より
一般的には「ぎこちない」と読みますが、昔の名残りで「ぎごちない」と表現する場合もあります。
「ぎこちない」の語源は諸説あるようですが、いずれも古語と漢語が合わさったものと言われているそうです。
不慣れなために緊張して、言動が不自然な様子ってことなんだね!
ぎこちないの由来や語源は「骨(こち)なし」という古語+「気骨」という漢語
「ぎこちない」の由来、語源=「骨(こち)なし」という古語+「気骨」という漢語
骨(こち)なしとは、骨の音読みである「こつ」と強調の意味をもつ形容詞「なし」を合わせた古語です。この場合の「なし」は、有る・無しの「無し」ではありません。
骨がゴツゴツしていて柔軟性に欠けることから、無作法、ぶしつけといった意味を持ちます。
「こちなし」に、強い信念という意味を持つ漢語「気骨」が合わさって「ぎこちなし」となり、その後「ぎこちない」へと変化したようです。また、堅苦しいという意味の「詰屈(きっくつ)」が由来という説もあります。
さらに掘り下げると、「牙(き)」と「骨(こち)」いう硬いものを並べ、形容詞の「なし」と組み合わせて「牙や骨のように硬く柔軟性が全くない」という説も…。
いずれにせよ、動作や言葉使いなどが硬く不自然であるという意味は共通していますね。
骨のように硬く柔軟性に欠けることが由来なんだね!
ぎこちないの使い方・例文
「ぎこちない」という言葉を使った例文を見ていきましょう。
使用例①挙動不審編
は、はじめまして!よ、よろしくお願いいたしましゅ…!
ふふ、ぎこちない挨拶ね。そんなに緊張しなくても大丈夫よ。
使用例②衣服の着心地編
まぁ!新しい制服、とてもよく似合っているわ。
そうかな、まだ少しぎこちないけど…褒めてくれてありがとう!
毎日着るんだもの、これから馴染んでくるわよ!
ぎこちないの類義語や言い換え、対義語
ぎこちないの類義語と対義語についても見ていきましょう!
ぎこちないの類義語や言い換え
ぎこちないの類義語や言い換えとしては下記のものがあります。
不器用
私、まだロボットのような返事をしていますか?不器用なりに努力しているのですが…。
つたない
つたない演技かもしれない!それでも全力でやるぞ!
下手くそ
下手くそな歌だけど、彼の気持ちは伝わったわ!
ぎこちないの対義語
ぎこちないの対義語としては下記のものがあります。
自然体
いつも自然体なところが彼女の魅力なんだ!
しっくりくる
あなたが着るとどんな服でもしっくりくるわね!
馴染む
あいつ、初対面なのにもうこの場に馴染んでるよ!