今回は「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」という言葉について解説します!
「慇懃無礼」とは、言葉や態度が丁寧すぎてかえって失礼だという意味の言葉です。
「丁寧なのはいいけど、相手によっては慇懃無礼な人だと思われるよ」みたいに使うよ!
「慇懃無礼」は「慇懃(きわめて丁寧)」と「無礼「失礼なさま」」が合わさってできた四字熟語です。
この記事では「慇懃無礼」という言葉の詳しい意味や由来、使われ方などについても深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ!
慇懃無礼とは?意味は「言葉や態度が丁寧すぎてかえって失礼」
「慇懃無礼」の意味=言葉や態度が丁寧すぎてかえって失礼
「慇懃無礼」とは言葉や態度が丁寧すぎてかえって失礼だという意味の言葉です。
「慇懃無礼」な人や態度には主に2つのパターンがあります。
- 必要以上に丁寧で礼儀正しいために、かえって失礼にあたる
- あえて丁寧で礼儀正しいふうを装って、実は相手と距離を取って内心では見下している
ひとつめは本人が無自覚な場合もあり、相手が失礼だと捉えたり心の距離を感じて少し寂しく感じたりする様子が窺えます。ふたつめはそもそも悪意があって嫌味に感じるパターンですね。いずれにしても「慇懃無礼」はネガティブなニュアンスの言葉なので、意味をしっかりと理解した上で使用には注意しましょう。
「慇懃無礼」は礼儀もいきすぎると相手を不快にさせてしまうってことなんだね。
慇懃無礼の由来や語源は「慇懃(たいへん丁寧なさま)」+「無礼(失礼なさま)」
「慇懃無礼」の由来、語源=「慇懃(たいへん丁寧なさま)」+「無礼(失礼なさま)」
「慇懃無礼」は「慇懃(たいへん丁寧なさま)」と「無礼(失礼なさま)」が合わさってできた四字熟語です。
「慇懃」という言葉は古くは万葉集(奈良時代末期)に記されており、「心を込めて」という意味で「ねもころ」と読まれています。ここに正反対の意味である「無礼」が合わさり、丁寧すぎたり礼儀を尽くしすぎるとむしろ失礼にあたる、という意味の四字熟語として使われるようになりました。
また、「慇懃無礼」と同じ意味の言葉で「慇懃尾籠(いんぎんびろう)」という言葉もあります。この言葉は安土桃山時代の武将で歌人でもある細川幽斎の著書で登場。既にこの頃には丁寧すぎると失礼にあたるという感覚と、それを表す明確な言葉が存在していたことが窺えます。
「慇懃無礼」は正反対の言葉がくっついてできた四字熟語なんだね。
慇懃無礼の使い方・例文
「慇懃無礼」という言葉を使った例文を見ていきましょう。
使用例①敬語がいきすぎているパターン
お疲れ様でございます!この度はご昼食にお誘いいただき、誠にありがとうございます!
同僚なんだから気を遣わないでよ。敬語も使いすぎると慇懃無礼な人だと思われちゃうよ。
使用例②嫌味なパターン
左様でございますか。お客様がそこまでご希望されるならば私どもも仰せの通りにいたします。それでよろしゅうございますか?
言いたいことがあるならはっきり言えばいいだろう。全く慇懃無礼な態度で不愉快だ。
使用例③丁寧すぎて距離を感じるパターン
ご趣味はお散歩だと伺いましたが、どのような場所がお好みですか?早速今からいかがでしょうか?どんな所でも喜んで馳せ参じます!
慇懃無礼な感じだな。何度も会ってるのに一向に打ち解ける気がしない。
慇懃無礼の類義語や言い換え、対義語
慇懃無礼の類義語と対義語についても見ていきましょう!
慇懃無礼の類義語や言い換え
慇懃無礼の類義語や言い換えとしては下記のものがあります。
慇懃尾籠(いんぎんびろう)
慇懃無礼と同義。「尾籠」は無礼と同じく失礼だという意味。
取引先の担当者が慇懃尾籠な話し方でどうにも苦手なんです。
礼も過ぎれば無礼になる
過剰に丁寧なさまや礼儀を尽くすさまは、かえって失礼にあたるという意味のことわざ。
本当に有難く思ってくれてるんだろうけど、そう繰り返しお礼を言うと礼も過ぎれば失礼になるんじゃないかな・・・
お為ごかし(おためごかし)
表面上は親切で相手を尊重しているようだが、実際は自分本位であるという意味。「御為ごかし」とも。
○○さんの一言に救われたと思ってたけど、あの言葉はお為ごかしだったのかな。
慇懃無礼の対義語
慇懃無礼の対義語としては下記のものがあります。
横柄親切
態度が大きく無礼だが、内面は思いやりがあること。最近になってできた造語として広まっています。
主人は誤解されがちだけど実は横柄親切な人で、本当は思いやりにあふれた人なんですよ。