今回は「背水の陣」という言葉について解説します!
「背水の陣」とは、「絶体絶命の状況のなか、全力で物事に取り組む」という意味の言葉です。
「背水の陣を覚悟する」みたいに使うよ!
中国の歴史書『史記(しき)』の「淮陰侯列伝(わいいんこうれつでん)」から生まれた言葉です。
この記事では「背水の陣」という言葉の詳しい意味や発祥、使われ方などについても深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ!
「背水の陣」とは?意味は「絶体絶命の状況のなか、全力で物事に取り組む」
「背水の陣」の意味=「絶体絶命の状態のなか、全力で物事に取り組む」
「背水の陣」とは、「一歩もひけない、絶体絶命の状態」という意味の言葉です。
似た言葉として「四面楚歌」があります。
しかし「背水の陣」は、絶体絶命の状況下で「決死の覚悟で物事に取り組む」ことを指します。
「四面楚歌」等の別の言葉との使い分けに注意しましょう。
また一歩もひけないなかで取り組むという意味のため、他の言葉と比べ、どちらかというとポジティブな意味で使用されることが多いようです。
「絶体絶命の状況で頑張る」ということなんだね!
「背水の陣」は『史記』の「淮陰侯列伝」からできた言葉
「背水の陣」=中国の歴史書『史記(しき)』の「淮陰侯列伝(わいいんこうれつでん)」からできた言葉
「背水の陣」は、司馬遷によって編纂された古代中国の歴史書『史記』の「淮陰侯列伝」から生まれた言葉です。
『史記』には下のような内容の文があります。
韓信という人物が、3万の兵で30万の趙国の軍隊と戦うことになった。韓信は常識からは外れた、川を背にした不利な所に陣を敷く。それを見た相手の軍は笑う。しかし韓信たちは勝利した。戦勝の宴で、なぜあんな作戦にしたのかと聞かれた韓信は「これは兵法にある。君たちが想像できなかっただけだ。兵法で言わないだろうか? 兵を追い込めばかえって生き、絶対絶命の状況に置けば、生き残る。」と言った。
以上のような「背後に川などがある状況に陣をおき、退くと水に溺れる状況で、味方に決死の覚悟で戦わせること」から転じて、現在の「絶体絶命の状態のなか、全力で物事に取り組む」という意味になりました。
中国の故事がもとになった言葉なんだね!
「背水の陣」の使い方・例文
「背水の陣」という言葉を使った例文を見ていきましょう。
使用例①
代理で出席してくれてありがとう。会議はどうだった?
こちらの提案に誰も賛成してくれず……背水の陣で臨み、頑張りました。なんとか意見は通りましたよ。
使用例②
昨日の大きなニュースは、どういった内容だったのかな?
人気アイドルの結婚発表だよ! 記者会見は背水の陣の覚悟だったろうね。でも、誠実な様子から好感度は高かったように思うよ。
使用例③
お前! テスト勉強はどうした!
今日始めたよ。あえて背水の陣を敷いているんだ。
「背水の陣」の類義語や対義語
「背水の陣」の類義語と対義語についても見ていきましょう!
「背水の陣」の類義語
「背水の陣」の類義語としては下記のものがあります。
四面楚歌
「四面楚歌」とは、助けがなく、周囲が敵ばかりの状況を意味する言葉です。
昨日の大きなニュースは、どういった内容だったのかな?
人気アイドルの結婚発表だよ! 記者会見は四面楚歌だったね。今後が大変そう。
死中に活を求める
「死中に活を求める」とは、絶望的な状況下でも、生きる道を探すという意味の言葉です。
また、困難な状況を打開するため、あえて危険な中に行くこともいいます。
お前! テスト勉強はどうした!
今日始めたよ。あえて死中に活を求めているんだ。
前門の虎後門の狼
「前門の虎後門の狼」とは、ひとつの危機から身を守っても、さらに他の危機に遭遇するという意味の言葉です。
代理で出席してくれてありがとう。会議はどうだった?
こちらの提案に、他部署はなんとか賛成してくれましたが、社長が反対で……前門の虎後門の狼という状況でした。
「背水の陣」の対義語
「背水の陣」の対義語としては下記のものがあります。
余裕綽々
「余裕綽々」とは、焦らず落ち着いた様子を表す四字熟語です。
お前! テスト勉強はどうした!
とっくに始めてるよ。今回は余裕綽々でいけそう。
優勢
「優勢」とは、勢いや形勢が勝っている状況を表す言葉です。
代理で出席してくれてありがとう。会議はどうだった?
こちらの提案に、皆賛成してくれました。我が部署が優勢な状況で話が進みましたよ。