今回は「ほげる」という方言について解説します。
「ほげる」とは、穴があく・表面がはがれる・破れるといった意味で使う方言です。

「靴下ほげた!」のように、穴があいてしまったときに思わず口から出る言葉ですよ。
主に広島・岡山を中心とした中国地方、および九州の一部で使われます。
この記事では「ほげる」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
ほげるとは?意味は「穴があく・破れる」
「ほげる」の意味=穴があく・表面がはがれる・破れる
ほげるは、靴下や衣類に穴があく、壁や地面が崩れる、物の表面が破損するといった状態を表す方言です。
「穴があく」という物理的な状態だけでなく、「壊れた・だめになった」というニュアンスでも使われます。
標準語にぴったり対応する一語がないため、外から来た人が戸惑うことも多い方言のひとつです。
「ほげた(穴があいた)」「ほげとる(穴があいている)」のように活用して使います。



「靴下ほげた」って言われたとき、意味が分からなくて困った、という方も多いんじゃないでしょうか。
ほげるはどこの方言?
ほげる=広島・岡山など中国地方を中心に、九州の一部でも使われる方言
ほげるは、広島県・岡山県を中心とした中国地方全般で日常的に使われる方言です。
広島・岡山では年配の方から若い世代まで幅広く使われており、「靴下ほげた」「壁ほげとる」などの表現が普通に通じます。
九州地方(福岡・熊本・宮崎など)でも「ほげる=穴があく」の意味で使われており、中国地方とは別に広まったと考えられています。
同じ意味の表現が地理的に離れた地域に残っているのは、古い日本語が各地に伝わった証拠ともいわれます。



広島・岡山と九州の両方で使われているのは興味深いですね。
ほげるの由来・語源
ほげるの語源にはいくつかの説があります。順に見ていきましょう。
語源①:「ほじくる」から転じた説
有力説=「ほじくる(掘る・ほり出す)」が転じて「ほげる(穴があく)」になった説
「ほげる」の語源として広く言われるのは、「ほじくる(掘る・えぐり出す)」から派生したという説です。
「ほじくる」→「ほじる」→「ほげる」と変化し、掘ったり引っ張ったりして穴があいてしまう状態を表す言葉になったと考えられています。
動作から状態を表す言葉が生まれる変化は方言に多く見られるパターンです。



「ほじくる」から「穴があく」へ、動作が結果を表す言葉に変わった流れは自然ですね。
語源②:古語「穿(ほ)る」との関連
別説=古語「穿(ほ)る(穴をあける・掘る)」と関連するという説(諸説あり)
古語に「穿(ほ)る」という「穴をあける・掘る」を意味する動詞があります。「ほる」→「ほがれる(穴があけられる)」→「ほげる」と変化したとする説もあります。
こちらも断定はできませんが、「穿つ(うがつ)」「穿く(はく)」など「穴」に関わる古い語と「ほ」音が共通している点は注目されます。



古語の「穿(ほ)る」とつながるとしたら、ずいぶん古い言葉が生き残っているんですね。
「ほげる」と「こげる」の混同に注意
「ほげる」=穴があく、「こげる」=焦げる、まったく別の意味なので注意
広島弁では「こげる(焦げる)」という表現もよく使われます。音が似ているため混同されることがありますが、「ほげる」と「こげる」は意味が全く異なります。
「靴下ほげた」は「穴があいた」、「パンこげた」は「焦げた」で、セットで覚えておくと区別しやすくなります。



「ほげる」と「こげる」、確かに聞き間違えそうですね。
ほげるの使い方・例文
「ほげる」はさまざまな場面で使われます。具体的な例文で確認しましょう。
使用例① 衣類に穴があいたとき
靴下や服に穴があいてしまったときに、思わず口に出る一言です。



あ、靴下ほげとる。昨日洗ったばかりなのに。



それなら早めに縫っておいたほうがいいですよ。
使用例② 建物や物が壊れたとき
壁や地面が崩れたり、物に穴があいてしまったりしたときにも使います。



台風で壁がほげてしまった。



それは早めに修理しないといけませんね。
使用例③ 子どもが物を壊してしまったとき
子どもがいたずらして物に穴を開けてしまった場面でも使われます。



こら、障子ほがしたらいけんよ。



「ほがした」は「ほげる」の使役形、広島弁らしい言い方ですね。
ほげるの類義語・対義語
ほげるの類義語
穴があく/破れる(やぶれる)/崩れる(くずれる)/うがたれる(穿たれる)/開口する(かいこうする)
標準語では「穴があく」「破れる」が最もシンプルな言い換えです。
同じ広島・岡山では「ほじくれた(穴があいた)」という表現もあり、「ほげる」と似た意味合いで使われることがあります。



「穴があく」を一言で言える「ほげる」、覚えておくと便利ですね。
ほげるの対義語
ふさがる/埋まる(うまる)/修復される(しゅうふくされる)/直る(なおる)
「ほげる」の対義語は「穴がふさがる」「修復される」にあたります。方言内では「なおる(直る)」が広く使われます。



「ほげた」ものが「なおった」で一段落、という使い方が自然ですね。
ほげるの豆知識・ちょっといい話
「ほげる」には、プログラマーも思わず注目するエピソードがあります。
プログラマーの「hoge(ほげ)」と方言の「ほげる」は同じ語源?
プログラミングで使う「hoge」は日本固有のサンプル変数名で、方言の「ほげる」との語源的なつながりを指摘する声もある(諸説あり)
プログラミングの世界には、英語圏の「foo/bar」にあたる日本固有のサンプル変数名「hoge(ほげ)」があります。その語源については諸説あり、広島・九州方言の「ほげる(穴があく)」と関連するという説もその一つです。
断定できる根拠はなく「諸説あり」ですが、IT業界でよく見るカタカナ「ほげ」と地元の方言が同じ音を持つという偶然(?)は、話題のきっかけとして盛り上がります。



「hoge」と広島弁「ほげる」が親戚かもしれないというのは、なんだか面白いですね。
「穴ほげるほど見る」という表現も広島に残る
「穴ほげるほど見る」=じっと凝視する、という慣用的な言い方も広島に残る
広島や岡山では「穴ほげるほど見る(じっと穴があくほど凝視する)」という言い方もあり、「穴があく」という「ほげる」の意味が慣用表現にも活かされています。
標準語の「穴があくほど見つめる」と同じ意味ですが、「ほげる」を使うことでより地元らしい表現になります。



「穴ほげるほど見る」、言葉の響きが独特で面白いですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「ほげる」の意味や使い方を知って、広島・岡山の方言をもっと身近に感じていただけると幸いです。