今回は「もっこす」という方言について解説します。
「もっこす」とは、頑固で一本気な人、自分の信念を曲げない人を表す方言です。

ただ意地っぱりというより、芯が通っていて筋を通すという、どこか褒め言葉のひびきもあるんですよ。
主に熊本県で使われます。
この記事では「もっこす」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
もっこすとは?意味は「頑固で一本気な人」
「もっこす」の意味=頑固者・一徹で信念を曲げない人
もっこすは、自分が正しいと思ったことは相手がだれであっても貫きとおす、頑固で一本気な人を指す言葉です。
標準語の「頑固者」に近い言葉ですが、ただの意地っぱりとは少しちがいます。
筋を通す、曲がったことが嫌い、反骨精神がある、といった芯の強さをふくんだ言葉として使われます。
そのため「あの人はもっこすだ」と言うときは、あきれた気持ちのときもあれば、信頼や尊敬をこめているときもあります。



頑固という短所と、信念を曲げない長所が、表と裏でひとつになった言葉ですね。
もっこすはどこの方言?
もっこす=熊本県(肥後)で使われる方言
もっこすは、熊本県を中心に使われる方言で、熊本県民の気質を表す言葉として知られています。
熊本の古い呼び名「肥後(ひご)」をつけて「肥後もっこす」と言うと、熊本の男性の県民性そのものを指す言い回しになります。
頑固さを表す県民性の言葉としては、青森の「津軽じょっぱり」、高知の「土佐いごっそう」と並んでよく挙げられます。
全国的には言葉そのものより、「肥後もっこす」という形で知られている面もあります。



言葉というより、熊本の人柄を表すキーワードとして広まっているんですね。
もっこすの由来・語源
もっこすの由来には、語源や代表格になった経緯にいくつかの話があります。順に見ていきましょう。
語源:はっきりした定説はなく諸説あり
語源には定説がなく、いくつかの説が語られている
もっこすの語源は、これといった定説が定まっておらず、諸説あるのが正直なところです。
土砂を運ぶ道具「畚(もっこ)」のように、どっしりとして動かない様子から来たという説などが語られています。
ただし確かな裏づけがある説とは言いにくく、由来をはっきり断言できない言葉のひとつです。



古くから使われる言葉ほど、語源がはっきりしないことは多いんですよ。
県民性の代表格になったのは戦後から
もっこすが熊本県民の代表格とされたのは戦後からとされる
もっこすが熊本県民の気質の代表格として語られるようになったのは、戦後になってからだと言われています。
それ以前は、人や世間を小ばかにするという意味の「わまかし」が、熊本の気質を表す代表だったとされています。
同じ熊本でも、時代によって県民性を表す言葉が移り変わってきたわけです。



代表する言葉が時代で入れかわっていたとは、意外な話ですね。
もっこすの使い方・例文
「もっこす」を使った会話を見ていきましょう。
人柄を語る場面で使われることが多く、あきれと尊敬のどちらの気持ちもこめられます。
使用例① 考えを曲げない人を評するとき
職人気質の知り合いについて話している場面です。



あん人は根っからのもっこすだけん、一度決めたらてこでも動かんよ。



(筋の通った人なのね)でも、その芯の強さは信頼できそうですね。
使用例② 自分のことをふり返るとき
つい意地を張ってしまったと反省している場面です。



われながらもっこすだもんで、つい引けんごとなってしもうた。



(素直に認めているのね)たまには折れることも大事ですよね。
使用例③ 県民性を語るとき
熊本出身の人柄を紹介している場面です。



熊本の男はもっこすが多かって、よう言われるとよ。



(土地の気質なのね)筋を通す人が多い土地って、すてきだと思います。
もっこすの類義語や対義語
もっこすの類義語と対義語についても見ていきましょう。
もっこすの類義語
もっこすに近い標準語や、他地域の似た方言には下記のものがあります。
頑固者・一徹(標準語)
頑固者・一徹は、自分の考えを曲げない人を表す標準語です。もっこすと近い意味ですが、もっこすには反骨精神や芯の強さといった前向きなひびきも加わります。



同じ頑固でも、もっこすには褒め言葉の側面があるのが特徴ですね。
じょっぱり(青森・津軽の方言)
じょっぱりは、青森の津軽地方で使われる「頑固者・意地っぱり」を表す方言です。「津軽じょっぱり」として知られ、もっこすと同じく県民性を表す言葉です。



頑固な人を表す方言が、各地にあるのはおもしろいところです。
いごっそう(高知・土佐の方言)
いごっそうは、高知の土佐地方で使われる「頑固で気骨のある人」を表す方言です。「土佐いごっそう」として、もっこすやじょっぱりと並んで挙げられます。



土地ごとに、頑固さを誇りとして語る言葉があるんですね。
もっこすの対義語
もっこすは芯が強く信念を曲げない人なので、反対は周りに合わせる柔らかな人を表す言葉になります。
標準語の「素直」「柔軟」が、もっこすと反対の感覚にあたります。人の意見をよく聞き、場に応じて考えを変えられる人をさします。



芯を通すもっこすに対して、しなやかに合わせるのが対の姿ですね。
もっこすの豆知識・ちょっといい話
もっこすをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
日本三大頑固のひとつ「肥後もっこす」
肥後もっこすは、津軽じょっぱり、土佐いごっそうと並んで「日本三大頑固」のひとつに数えられます。
三つとも、その土地の人の気質を頑固さで言い表した言葉です。頑固という性質が、その土地の誇りとして語りつがれているのが共通点です。



頑固さがマイナスでなく、誇りとして語られているのが素敵ですね。
昔は別の言葉が県民性を表していた
もっこすが熊本の代表格になったのは戦後で、それ以前は「わまかし」が代表だったとされています。
わまかしは、人や世間を小ばかにするという意味の言葉でした。県民性を表す言葉が時代とともに移り変わってきたのは、言葉と土地の関係を考えるうえで興味深い話です。



同じ土地でも、語られる気質が時代で変わっていくんですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。熊本で「もっこす」と耳にしたら、頑固さの奥にある芯の強さや反骨精神を思い出してみてください。