今回は「私儀」という一般用語について解説します!
私儀は「しぎ」と読み、私個人のことという意味の言葉です。
「私儀」この度は…と書き始めなどに使うよ!
「私儀」の発祥は江戸時代にまで遡り、大阪独吟集に記載されている言葉のようです。
この記事では「私儀」という言葉の詳しい意味や発祥、使われ方などについても深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ!
私儀とは?意味は「私個人のこと」
「私儀」の意味=私個人のこと
私儀とは私個人のことという意味を謙遜した表現をした言葉です。
私儀は「わたくしぎ」と読むのですが、「しぎ」と間違われることが多いようです。
私個人について恐縮ですがや、自分個人に関することですがと言う前置きとして使われます。
ビジネス関係の文章や退職届などに使われることが多い言葉です。
私儀と言う言葉は前置きとして使われるため、ネガティブでもポジティブでもない言葉です。
私儀で始まる文章の全体の内容によっては、ネガティブな意味にもポジティブな意味にも捉えられてしまうことがあるようでうす。
似た言葉に「私事」や「一身上」などがあげられます。
私儀は文章にて使われるため、日常的に使われたり、会話に使われたりすることはないようです。
私儀は謙遜している自分のことってことなんだね!
私儀の発祥や元ネタは「大坂独吟集」
「私儀」の元ネタ、発祥=大坂独吟集
私儀の正確な発祥は不明瞭なものの、大阪独吟集に記載があるようです。
大阪独吟集とは、延宝3年(1675)に刊行された2巻の江戸時代の俳諧集です。
俳諧とは「発句」という詩歌のはじめの一句や「連句」という長句(五七五)と短句(七七)を二人以上で交互に重ねた物の総称です。
私儀はこの大阪独吟集に「目安にのするより棒の事 〈略〉 私儀木戸のものにて候き〈意楽〉」と記載されているようです。
江戸時代にはすでに「私儀」は使われていたということになります。
転職サイトや転職エージェントが増えている現代では、退職届を作成する際の使用が最も多いと考えられます。
インターネット上には、退職届のテンプレートがたくさんあり、意味を理解せずとも使っている人も多いかもしれません。
私儀は意識せずとも目にし、使っている言葉ともいえ、知らず知らずのうちに広まっている言葉かもしれません。
退職届のテンプレートで使ったかも!いつの間にかお世話になってる!
私儀の使い方・例文
「私儀」という言葉を使った例文を見ていきましょう。
使用例①
練習付き合ってあげるよ!田中よりご報告があります。お願いします。
はい。私儀、このたび常務取締役に就任することと相成りました。
使用例②
退職届の書き方教えて。
最初に「私儀」って付けるんだぞ!
使用例③
休暇届けはきちんと出して!
『私儀、父急逝のため、取り急ぎ葬儀を執り行うことになりました。』こちらで良いですか?
私儀の類義語や対義語
私儀の類義語と対義語についても見ていきましょう!
私儀の類義語
私儀の類義語としては下記のものがあります。
私事
私個人の生活や家族のこと、おおやけではないプライベートなことを意味する言葉です。
「私儀」と同じように文章に使われますが、日常会話でも使われることもあります。
読み方は「わたくしごと」ですが、「しじ」とも読まれます。
私事ですが、子ともが生まれました。
一身上
自分自身の理由、事情、境遇などに関する事柄を意味する言葉です。
「私儀」と同じ退職届で使われることが多いですが、「一身上」は退職理由として使われることが多いようです。
一身上の都合により退職させていただきたいと思います。
自己都合
自分自身の事情によることを意味する言葉です。
退職が会社の倒産など会社都合によるものか、自分の体調など自分の都合によるものなのかという時に使われます。
以前のお勤め先を自己都合により退職されているようですが?
私儀の対義語
私儀の対義語としては下記のものがあります。
公儀
公的なこと、おおやけ、公共的な性格を持つ事柄を意味する言葉です。
私と公という言葉の違いだけで意味も全く反対になるようです。
こちらの言葉も大阪独吟集に記載があるようで、江戸幕府のことを「公儀」とよんでいたようです。
公儀の役人って時代劇の見過ぎだよ!
公式
個人で定めたものではない、公的に定められたやり方や形式を意味する言葉です。
近年では、「公式ホームページにアクセスしてください」など目にする機会が多い言葉です。
公式サイトを見てみよう!
公的
おおやけにかかわっているさま、公共にかかわっているさまを意味する言葉です。
対義語としては、「私的」とされ、「私儀」と異なる部分がありますが、個人とおおやけという意味では対義語と言えます。
離婚に向けて、公的文書の作成を依頼しなきゃ。