今回は「しらこい」という方言について解説します。
「しらこい」とは、知っているのに知らないふりをする、しらじらしくて嘘くさい様子を表す言葉です。

「しらこい言い方やな」のように、見え透いたとぼけ方を指す言葉ですね。
主に関西地方、とくに大阪を中心とした近畿地方で使われます。
この記事では「しらこい」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語・対義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
しらこいとは?意味は「しらじらしい・嘘くさい」
「しらこい」の意味=しらじらしくて嘘くさい、わざとらしくとぼけている様子
しらこいは、本当は知っているのに知らないふりをする、見え透いた態度を指す言葉です。
標準語にすると「しらじらしい」「わざとらしい」「嘘くさい」に近いニュアンスです。
「しらこいやっちゃな」「しらこいこと言いな」のように、相手のとぼけた態度をたしなめるときに使われます。
強い悪口というよりは、あきれや軽いツッコミとして使われることが多い言葉です。



とぼけているのが相手に伝わっている、というところがポイントなんですね。
しらこいはどこの方言?
しらこい=主に関西(大阪)を中心とした近畿地方の方言
しらこいは、大阪を中心に京都・奈良・兵庫・滋賀・和歌山など近畿地方で広く使われる方言です。
関西の人どうしの会話では自然に出てきますが、関西以外では通じにくい言葉です。
発祥は諸説あり、奈良県のあたりから広まったとする見方もあります。
近年はお笑い芸人や動画配信者がテレビやネットで使ったことで、若い世代を中心に関西以外でも耳にする機会が増えています。



関西弁として広まりつつある、いきいきとした言葉なんですね。
しらこいの由来・語源
しらこいの語源には諸説あります。有力な説を整理して見ていきましょう。
語源①:「白い(しらじらしい)」+「〜こい」という説
「白い・しらじらしい」の「しら」に、関西の「〜こい」が付いてできたとする説
「しらじらしい」「しらける」の「白(しら)」に、様子を強める接尾語「〜こい」が付いた形、という見方が有力です。
白という色は、隠し事のない・うわべだけ・見え透いた、といったイメージとも結びつきます。
そこから「見え透いてしらじらしい」という意味で「しらこい」が生まれた、と考えられています。



「しらじらしい」と意味が重なるのが、この説の手がかりなんですね。
語源②:関西特有の「〜こい」で形容詞をつくる言い回し
関西には「〜こい」で様子を表す形容詞をつくる言い回しが多い
関西弁には「ひつこい(しつこい)」「ややこい(ややこしい)」「ひやこい(冷たい)」など、「〜こい」で終わる形容詞が数多くあります。
「しらこい」も、この「〜こい」の仲間として生まれた言葉だと整理できます。
標準語の「冷たい」を「ひやこい」と言うように、もとの言葉が関西らしく形を変えたものと考えられます。



「ひつこい」や「ややこい」と同じ仲間だと思うと、すっと覚えられるね。
語源③:「知らこい(知らないふり)」との混同にも注意
「知らないふり」という意味から「知らこい」と結びつける見方もある
知っているのに「知らない」と言う様子から、「知らこい」と結びつけて説明されることもあります。
意味の上では「知らないふり」とよく重なるため、混同されやすいところです。
ただし表記としては「白こい」と書かれることが多く、「白(しら)」由来とする説のほうが広く知られています。どちらと断定はできず、諸説あるととらえておくのがよさそうです。



「白」と「知らない」、両方の意味が重なっているのが面白いところですね。
しらこいの使い方・例文
「しらこい」を使った会話を見ていきましょう。
相手のとぼけた態度に、軽くツッコむ場面でよく使われます。
使用例① 知っているのにとぼける相手に
本当は知っているのに、知らないふりをする場面です。



えっ、そんな話あったっけ。全然知らんわ。



しらこいなあ。さっき自分で言うとったやんか。
使用例② わざとらしい態度にあきれる
見え透いたお世辞やほめ言葉に、あきれる場面です。



いやあ、今日のあなた、ほんまに素敵やわあ。



しらこいこと言わんといて。なんか裏があるんちゃう。
使用例③ ばれているのにごまかす相手に
もうばれているのに、必死にごまかそうとする場面です。



その花瓶割ったん、ぼくちゃうで。ほんまに知らんって。



しらこいわ。手に破片ついてるやんか。
しらこいの類義語や対義語
しらこいの類義語と対義語についても見ていきましょう。
しらこいの類義語
しらこいの類義語としては、標準語の言い換えや他地域の似た方言があります。
しらじらしい・わざとらしい・嘘くさい(標準語)
いずれも、見え透いていて本心が感じられない様子を表す言葉です。「しらこい」をやわらかく標準語にしたい場面でそのまま使えます。



「しらじらしい態度」のように、ほぼ同じ気持ちで使えますね。
ふてこい(関西の方言)
ふてこいは、関西で「ずうずうしい」「ふてぶてしい」を表す方言です。同じ「〜こい」の仲間で、「しらこい」と並べて使われることもあります。



「ふてこい」と「しらこい」、響きも仲間どうしなんですね。
しらばっくれる・とぼける
どちらも、知っているのに知らないふりをすることを表します。「しらこい」が様子を表す形容詞なのに対し、こちらは動作を表す言葉です。



「しらばっくれる人」の態度を「しらこい」と言う、という関係ですね。
しらこいの対義語
しらこいの対義語としては下記のものが挙げられます。
素直(すなお)・正直(しょうじき)
とぼけたりごまかしたりせず、ありのままを言う様子を表す言葉です。見え透いた「しらこい」とは反対の態度といえます。



ぴったり一語の対義語はありませんが、「正直」が近い反対のイメージですね。
しらこいの豆知識・ちょっといい話
しらこいをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
関西は「〜こい」で形容詞をつくる名人
関西弁には「ひつこい」「ややこい」「ひやこい」「なれこい」など、「〜こい」で終わる形容詞がそろっています。
「しつこい」が「ひつこい」、「冷たい」が「ひやこい」になるように、関西では言葉が独特のリズムに変わります。「しらこい」もこの仲間だと思うと、関西弁らしさがよく見えてきます。



「〜こい」が並ぶと、いっきに関西らしい音になるね。
芸人やネット配信で全国に広がった言葉
もとは関西の方言ですが、お笑い芸人や動画配信者が使ったことで、若い世代を中心に全国へ広がりました。
テレビのトークやネット動画で「しらこい」が飛び交うのを聞いて、意味を知らずに使い始めた人も多いようです。方言が新しい場所で第二の人生を歩みはじめた、面白い例といえます。



方言がそのまま全国の若者言葉になっていくの、なんだか素敵だね。
「白」と「知らない」、二つの顔をもつ言葉
「しらこい」は「白(しらじらしい)」由来とする説と、「知らない」由来とする説の二つで語られることがあります。
「白々しい」の「白」と、「知らないふり」の「知らない」。音が同じ「しら」で重なるため、どちらの意味も自然に当てはまってしまうのが、この言葉の面白いところです。



偶然なのか、二つの「しら」がきれいに重なっているんですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。関西で「しらこい」と耳にしたら、見え透いたとぼけ方への軽いツッコミだと思い出してみてください。