今回は「ちちまわす」という方言について解説します。
「ちちまわす」とは、喧嘩でひどくやっつける、何度も殴ってボコボコにする、という意味の方言です。

「ちちまわすぞ!」は強い脅し文句ですが、本気ではなく冗談半分で使うことも多いんですよ。
主に大分県で使われます。
この記事では「ちちまわす」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
ちちまわすとは?意味は「ボコボコにやっつける」
「ちちまわす」の意味=喧嘩でひどくやっつける、何度も殴ってボコボコにする
ちちまわすは、相手を激しく殴る、徹底的にやっつける、といった荒々しい行為を表す言葉です。
標準語にすると「ぶちのめす」「ボコボコにする」が近い意味になります。
「ちちまわすぞ!」という形で使われると、かなり強い脅し文句になります。
ただ、実際の会話では本気で殴る前提ではなく、威嚇や冗談半分で口にすることも多い言葉です。きょうだい喧嘩や軽いいさかいの場面で、ぽろっと出ることもあります。



言葉は強くても、地元では言い慣れた決まり文句として使われることが多いんですよ。
ちちまわすはどこの方言?
ちちまわす=大分県の方言(大分弁)
ちちまわすは大分県で使われる大分弁の一つで、喧嘩や脅しの場面で登場する言葉です。
大分の「怖い方言・危険な方言」を紹介する場面では、定番の一つとして取り上げられます。
言葉の響きが強いため、初めて聞いた人は驚くことも少なくありません。
他の地域ではほとんど通じず、大分らしい言い回しとして印象に残りやすい方言です。



県外の人が初めて聞くと、思わずびっくりしてしまう響きですね。
ちちまわすの由来・語源
ちちまわすの語源には諸説あります。代表的な説を順に見ていきましょう。
語源①:「打ちまわす」が変化した説
有力説=「打ちまわす(うちまわす)」や「ぶちまわす」が変化して「ちちまわす」になったという説
「打ちまわす」の「打ち(うち)」が「ち」に変わり、勢いを強める働きをして「ちちまわす」になったとされています。
「打つ」「ぶつ」はもともと殴る・たたくという意味の言葉です。それを「まわす」という、繰り返し動作を表す言い方と合わせることで、「何度も殴る」という強い意味になります。
音が縮まったり変わったりするのは方言ではよくあることで、「うちまわす」が「ちちまわす」に近づいていったと考えられています。



「打ち」が語源だと分かると、意味のつながりがすっきり理解できますね。
「ち」は父・乳ではない(強調の接頭辞)
注意点=先頭の「ち」は「父」や「乳」とは関係なく、「打ち」が変化して勢いを強めたもの
「ちちまわす」の「ちち」を見て、つい「父」や「乳」を思い浮かべる人がいますが、これは誤解です。
先頭の「ち」は「打ち」が変化したもので、後ろの動作を強める接頭辞のような働きをしています。「ちちまわす」の「ちち」に、家族や体の意味はありません。
字面だけ見ると意味を取りちがえやすい、誤解されがちなポイントです。



「ちち」を父や乳と勘違いしてしまうのは、つい起こりがちなんですよね。
「まわす」が持つ繰り返しの意味
後ろの「まわす」には、動作を何度も繰り返す、すっかりやり切る、というニュアンスがあります。
「打ち」と「まわす」が合わさることで、一度きりではなく「何度も殴ってやっつける」という、強い意味合いが生まれていると考えられます。



「打ち」+「まわす」で、徹底的にやっつける感じが出るんだね。
ちちまわすの使い方・例文
「ちちまわす」を使った会話を見ていきましょう。
本気の喧嘩から軽い脅しまで、はば広く使われます。
使用例① 軽い脅し文句として
言うことを聞かない相手を、軽くおどす場面です。



いいかげんにせんと、ちちまわすぞ!(やっつけるぞ)



(本気じゃないと分かっているから)はいはい、もうやめておくね。
使用例② きょうだい喧嘩の場面
きょうだいでもめて、つい口に出てしまう場面です。



おれのお菓子勝手に食べたら、ちちまわすけんな!



ごめんって、ちょっとだけだったやん。
使用例③ 冗談まじりのやり取り
仲のよい間がらで、笑いながら言い合う場面です。



また人のこといじって、ちちまわすぞ〜(笑)



こわいこわい、もう言わんけん許してや。
ちちまわすの類義語や対義語
ちちまわすの類義語と対義語についても見ていきましょう。
ちちまわすの類義語
ちちまわすに近い標準語や、他地域の似た方言には下記のものがあります。
ぶちのめす・ボコボコにする(標準語)
ぶちのめす、ボコボコにするは、相手を激しく殴ってやっつけることを表す言葉です。ちちまわすにいちばん近い標準語の言い方です。



「ちちまわすぞ」は「ボコボコにするぞ」と言いかえられますね。
しばく(関西の方言)
しばくは、関西を中心に使われ、「殴る・たたく」を表す方言です。ちちまわすと同じく、脅しや冗談まじりで口にされることもあります。



「しばくぞ」も、本気とは限らない言い回しとして知られていますね。
どつく(西日本の方言)
どつくは、関西や西日本で使われ、「強くたたく・殴る」を表す方言です。荒っぽい動作を表す点で、ちちまわすと意味が重なります。



地域ごとに、殴ることを表す方言があるのはおもしろいですね。
ちちまわすの対義語
ちちまわすには、ぴったり当てはまる対義語はありません。
あえて言えば「やさしくする」「いたわる」といった、相手を大切にあつかう行為が、反対の意味にあたります。



強い言葉だけに、ちょうど反対の一語というのは見当たらないんですよ。
ちちまわすの豆知識・ちょっといい話
ちちまわすをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
アニメ「あたしンち」で話題になった
アニメ「あたしンち」の一家が大分出身という設定で、「ちちまわすぞ」が一時話題になりました。
家族の会話の中で大分弁が出ることがあり、この言葉に注目した人も多かったようです。アニメをきっかけに、大分の方言として知った人もいます。



身近なアニメで耳にすると、ぐっと親しみがわきますね。
「ち」は父・乳ではない(誤解あるある)
「ちちまわす」の「ちち」を、父や乳と勘違いされることがありますが、本当の由来は「打ち」の変化です。
字面が似ているために起こる、定番の誤解です。「打ち」が縮まって勢いを強めただけで、家族や体とは関係がありません。知っていると、ちょっとした方言の小ネタになります。



見た目にだまされやすい、覚えておくと得な豆知識ですよ。
強い言葉と可愛い語尾のギャップ
大分弁には「〜っちゃ」「〜やん」といった可愛い語尾もあり、強い言葉とのギャップが面白いところです。
「ちちまわすぞ」のような荒っぽい言い回しと、やわらかい語尾が同じ会話に並ぶことがあります。このギャップが、大分弁のおもしろさとして語られます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。大分で「ちちまわす」と耳にしたら、ボコボコにやっつけるという意味の大分弁だと思い出してみてください。