今回は「でら」という方言について解説します。
「でら」とは、とても・すごく・非常にといった意味で、程度を強めるときに使う方言です。

「でらうまい」「でら寒い」のように、気持ちをこめて程度を強められる言葉なんですよ。
主に名古屋を中心とした東海地方で使われます。
この記事では「でら」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
でらとは?意味は「とても・すごく」
「でら」の意味=とても・すごく・非常に。程度を強める言葉
でらは、「うまい」「寒い」「楽しい」などの前につけて、その程度をぐっと強める言葉です。
標準語の「とても」「すごく」、北海道の「なまら」と同じ働きをします。
うれしいときも、つらいときも、強い気持ちをのせて使えるのが便利なところです。
「でらうまい」と言えば、ただおいしいだけでなく、思わず声が出るほどおいしいという気持ちが伝わります。



名古屋の方が気持ちをこめて話すときに、自然と口から出る言葉ですね。
でらはどこの方言?
でら=名古屋を中心とした東海地方(愛知)の方言
でらは、名古屋をはじめとした愛知県でよく使われる方言です。
テレビやSNSでも名古屋弁の定番として紹介され、東海地方の言葉というイメージが広く定着しています。
同じ意味で「どえらい」「どえりゃあ」という言い方もあり、「でら」はそれを短くした形にあたります。
名古屋以外の人が聞くとピンとこないこともありますが、東海地方では老若男女に広く通じます。



名古屋では「でらうまい」が、ごく自然なほめ言葉になっているんですね。
でらの由来・語源
でらの由来には、もとになった言葉や広まった経緯におもしろい話があります。順に見ていきましょう。
語源:「どえらい」が縮まった説
有力説=「ど+えらい」が「どえりゃあ」を経て「でら」に縮まったという説
でらは、強調の「ど」と程度を表す「えらい」が結びついた「どえらい」が語源とされています。
東海地方では「えらい」が「とても」や「疲れた」を表し、それに「ど」がついて「どえらい」となりました。
これが「どえりゃあ」のようになまり、さらに短く縮まって「でら」という形になったと考えられています。



「どえらい」を縮めた言葉だと知ると、響きにも納得がいきますね。
広まった経緯(CMで定着)
広まったきっかけ=商品名やCMで「でら」が使われたこと
でらは、「でらうま」をうたった商品やCMがきっかけで、一気に広まったと言われています。
「どえらい」は古くから使われていたものの、短い「でら」という形が定着したのは比較的新しいという指摘もあります。
古くからの方言というより、メディアを通じて若い世代にも広がった、現代的な言葉だという点が特徴です。



CMをきっかけに定着したという、今っぽい経緯を持つ方言なんですね。
「デラックス」由来は俗説
「でら」は英語の「デラックス(deluxe)」から来た、という説を聞くこともあります。
ただし、これは後づけの俗説とされ、「どえらい」が縮まった説のほうが有力だと考えられています。



響きが似ているので勘違いされやすいですが、デラックス由来ではないんですね。
でらの使い方・例文
「でら」を使った会話を見ていきましょう。
名古屋弁の語尾「〜だがや」「〜みゃあ」と合わせると、より自然になります。
使用例① 食べ物がおいしいとき
お店で出てきた料理に感動している場面です。



この味噌カツでらうまいがや、もう一枚たのもうかな。



(よっぽど気に入ったのね)じゃあ私もおなじのを注文しちゃおうかな。
使用例② 暑さや寒さが厳しいとき
夏の蒸し暑さがきびしい昼間の場面です。



今日でら暑いね、ちょっと外に出ただけで汗だくだわ。



(相当こたえているのね)冷たい飲み物でも買っていこうか。
使用例③ 感想を伝えるとき
見てきたライブの感想を話している場面です。



あのライブでら良かったわ、最後まで鳥肌が立ちっぱなしだった。



(そんなに感動したのね)それは私も次は行ってみたくなったな。
でらの類義語や対義語
でらの類義語と対義語についても見ていきましょう。
でらの類義語
でらに近い標準語や、他地域の似た方言には下記のものがあります。
とても・すごく・めっちゃ(標準語・関西)
とても・すごくは、程度を強める標準語です。くだけた場面では関西の「めっちゃ」も近く、どれも「でら」と同じ働きをします。



「でらうまい」は「めっちゃうまい」とほぼ同じ気持ちですね。
なまら(北海道の方言)
なまらは、北海道で使われる「とても・すごく」を表す方言です。「なまらうまい」のように、でらと同じく程度を強めます。



地域ごとに「とても」を表す言葉があるのは、おもしろいところです。
ばり(福岡の方言)
ばりは、福岡などで使われる「とても・すごく」を表す方言です。「ばりうまい」のように使い、でらと同じ強調の役割を持ちます。



同じ意味でも、地域が変わると言葉の響きがずいぶん変わりますね。
でらの対義語
でらは程度を強める言葉なので、反対は程度の弱さを表す言葉になります。
標準語の「ちょっと」「少し」が、でらと反対の感覚にあたります。「でら寒い」に対して「ちょっと寒い」と言えば、程度がぐっと弱まります。



強めたいときは「でら」、控えめに言いたいときは「ちょっと」ですね。
でらの豆知識・ちょっといい話
でらをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
「えらい」は名古屋では「疲れた」も表す
でらのもとになった「えらい」は、東海地方では「疲れた・しんどい」という意味でも使われます。
「今日はえらいわ」と言えば、標準語では「偉い」と聞こえますが、名古屋では「疲れた」という意味になります。同じ言葉でも、地域によって受け取り方が変わるおもしろい例です。



「えらい」を「疲れた」と聞ける人は、なかなかの東海通ですね。
比較的新しい言葉という説
「どえらい」は昔から使われていたものの、短い「でら」が広まったのは近年だという指摘があります。
「でらうま」をうたった商品やCMをきっかけに広がったとも言われ、古くからの方言というより、メディアとともに定着した現代的な言葉だと考えられています。



長い歴史のある方言ばかりではない、というのも興味深い話ですね。
「ど」をつけてさらに強める
でらをさらに強めたいときは、頭に「ど」をつけて「どでら」と言うこともあります。
「でらうまい」よりも「どでらうまい」のほうが、より強い気持ちを表します。北海道で「なまら」を「なんまら」と強めるのと、よく似た仕組みです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。名古屋で「でら」と耳にしたら、強い気持ちをこめて程度を強めているのだと思い出してみてください。