今回は「わっぜ」という鹿児島弁について解説します。
「わっぜ」とは、「とても」「ものすごく」という程度の大きさを表す言葉で、鹿児島県(薩摩弁)で広く使われる方言です。

わっぜうまかね、このさつま揚げ!
主に鹿児島県で使われる言葉で、「わっぜか〜」の形でも使われます。
この記事では「わっぜ」の意味・どこの方言か・由来・使い方・類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
わっぜとは?意味は「とても」「ものすごく」
「わっぜ」の意味=とても・ものすごく・非常に(程度の大きさを強調する副詞)
「わっぜ」は物事の程度が際立って大きいことを表す副詞で、「わっぜうまか(とてもおいしい)」「わっぜ速か(ものすごく速い)」のように使います。
「わっぜか」という形で形容詞の前に置く使い方もあり、「わっぜかひと(すごい人)」のように言います。
「わっぜ」「わっぜか」のどちらの形も日常的に使われており、感情が高まったときに自然に出てくる言葉です。



「とても」がこんな形に変わるのか。鹿児島弁って独特の響きがあるね。
わっぜはどこの方言?
わっぜ=鹿児島県(薩摩弁)を中心とした方言
「わっぜ」は鹿児島県、とくに薩摩半島を中心とした薩摩弁(鹿児島弁)に属する言葉です。
地域によって「わっせ」「わっげ」など発音に差がありますが、いずれも「とても・非常に」を意味する点は共通しています。
県外にはほぼ通じない言葉でしたが、2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」で薩摩弁が注目されたことで、全国的にも知られるようになりました。



「わっぜ」って聞いたことあるけど、どこの言葉?



鹿児島弁だよ。「西郷どん」で聞いた人も多いんじゃないかな。
わっぜの由来・語源
語源①:「災い(わざわい)」が転訛した説
「わっぜ」の語源として有力とされるのは、「災い(わざわい)」が縮まって転訛したという説です。
「わざわい」→「わざ」→「わっぜ」という音の変化をたどったと考えられており、もともとは「困ったことになった」という負の感情を強調する言葉が、やがて程度を強める表現として定着したとされています。
「災い」が「とても・ものすごく」という強調表現に転じる例は珍しく、言葉の意味が変化していく過程の面白さを示しています。



「災い」から「とても」になるとは。意味がガラッと変わったんやね。
語源②:「わっぜか」の形と使われ方の変化
「わっぜか〜」(とても〜な)という形は、形容詞を修飾する鹿児島弁の典型的なパターンです。
「わっぜか寒か」(とても寒い)「わっぜかひと」(すごい人)のように、「わっぜか」の後に形容詞や名詞を続ける使い方が鹿児島では一般的です。
副詞として動詞の前に置く「わっぜ走った(ものすごく走った)」という使い方も並行して使われており、文脈に応じて形が変わります。



「わっぜ」と「わっぜか」で使い方が違うのか。覚えておきたいポイントだね。
わっぜの使い方・例文
「わっぜ」を使った会話を見ていきましょう。
感情が大きく動いたときに自然に出てくる言葉です。
使用例① 感動を伝える
強い感動や驚きを伝えるときの使い方です。



桜島、近くで見るとどうやった?



わっぜか迫力じゃったど。あの大きさは圧巻じゃった。
使用例② 大変さを伝える
何かがひどく大変だったと伝えるときにも使います。



今日の仕事、きつかった?



わっぜ疲れたど。もう動けんぐらいじゃったよ。
使用例③ 食べ物をほめる
食べ物においしさを伝えるときにも使えます。



この黒豚しゃぶしゃぶ、どうやった?



わっぜうまかった。こんなうまか肉は初めてじゃった。
わっぜの類義語・対義語
「わっぜ」の類義語と対義語についても見ていきましょう。
わっぜの類義語
「わっぜ」の類義語としては下記のものがあります。
ちかっぱ(博多弁)
「ちかっぱ」は福岡・博多弁で「とても・ものすごく」を意味する方言です。「わっぜ」と同じく九州の程度を強める副詞で、九州の南北でそれぞれ独自の表現が発達しました。



九州の南北でこんなに違う言い方があるのは面白いよね。
なまら(北海道弁)
「なまら」は北海道で「とても・非常に」を意味する方言です。日本の南端・鹿児島の「わっぜ」と北端・北海道の「なまら」が同じ意味を持つ点が、方言の多様性を感じさせます。



日本の端っこ同士で同じ意味の方言があるとは、なんか不思議だよね。
わっぜの対義語
「わっぜ」の明確な対義語はありませんでした。
程度を弱める言葉としては「ちっとん(少し)」が鹿児島弁で対になる位置にあります。
わっぜの豆知識・ちょっといい話
「わっぜ」をもっと楽しめる、ちょっとした小話を紹介します。
「西郷どん」で全国に広まった
2018年放送のNHK大河ドラマ「西郷どん」では、薩摩弁が劇中で積極的に使われ、「わっぜ」をはじめとする鹿児島弁が全国的に注目されました。
ドラマでの薩摩弁は方言指導者の協力のもとで制作されましたが、本格的な薩摩弁はあまりにも難解なため、理解しやすいよう調整された形で使われていたとされています。「わっぜ」はそのなかでも比較的聞き取りやすい言葉として印象に残った視聴者が多かったと言われます。



「西郷どん」見て薩摩弁に興味を持った人って多いだろうな。
「災い」が転じた強調語というユニークな歴史
「わっぜ」の語源が「災い(わざわい)」であるという点は、言葉の意味変化の面白い例として言語学的にも興味深いとされています。
「ひどい・大変だ」という負の意味が、そのまま程度の強さを示す言葉へと転じた過程は、日本語の方言が独自の発展を遂げてきたことを示しています。「やばい」が本来は危険を意味しながら今や称賛の言葉として使われるのと、似たような意味の広がり方と言えます。



「やばい」の方言版みたいな変化の仕方か。おもしろいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「わっぜ」の意味と由来を知ったうえで、薩摩弁の世界を楽しんでみてください。