今回は「めっけもん」という言葉について解説します。
「めっけもん」とは、偶然に見つけた掘り出し物・思いがけない良いものという意味の言葉です。

「これはめっけもんやな!」なんて聞いたことがあります。どこの言葉なんでしょう?
江戸時代の江戸(東京)の言葉が起源で、現在は全国で広く使われています。
この記事では「めっけもん」の意味やどこの言葉か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
めっけもんとは?意味は「掘り出し物・思いがけない収穫」
「めっけもん」の意味=偶然見つけた掘り出し物・思いがけず手に入った良いもの
めっけもんは、偶然に発見した価値あるもの・予想外に手に入った良い品や機会を指す言葉です。
「この店、安くておいしいやん。めっけもんやな」のように、嬉しい発見・予想を超えた収穫に対して使います。
物だけでなく、人・店・情報・機会など、抽象的なものにも使えます。「あの人を採用できたのは、うちにとってめっけもんやったな」のように人を指すこともあります。
「掘り出し物」「穴場」「棚から牡丹餅」と近い感覚ですが、「めっけもん」には驚きと喜びが同時に込められた温かいひびきがあります。



物だけでなく人や機会にも使えるのが、「めっけもん」のいいところですね。
めっけもんはどこの言葉?
めっけもん=江戸(東京)の言葉が起源で、現在は全国で使われている表現
めっけもんは、江戸時代の江戸(現在の東京)で使われた言葉が起源です。
江戸の下町言葉として生まれ、その後全国に広まりました。現在は特定の地域だけの方言というより、日本全体で通じる口語表現として定着しています。
特に関西でも「めっけもんやな!」と使われることが多く、大阪弁としてなじんでいる面もあります。ただし語源をたどると江戸言葉にあります。
「見つける」を「めっける」と言う言い方は東日本に多く見られ、その名残が「めっけもん」という形に残っています。



江戸弁が起源なのに、関西でもすっかりなじんでいるんですね。
めっけもんの由来・語源
「めっけもん」の語源は、二つの要素に分解すると分かりやすくなります。
語源①:「見つける」→江戸弁「めっける」→さらに「めっけた」
語源=「見つける(みつける)」が江戸弁で「めっける」に変化した
「めっける」は、標準語の「見つける」を江戸弁で発音したものです。
「見つける」の「みつ」が「めっ」に変化したのは、江戸言葉に見られる促音(っ)化という音の変化です。「三月(みつき)」→「みっき」のように、「つ」が「っ」に変化するパターンが江戸弁では多く見られました。
「めっけた」は「見つけた」の過去形にあたります。「めっけた!」と言えば「見つけた!」という意味です。



「見つける」が江戸弁で「めっける」になる音の変化、面白いですね。
語源②:「もの」→口語「もん」で「めっけもん」が完成
「もの(物)」が口語で「もん」に変化して「めっけもん」が生まれた
「めっける(見つける)」に「もの(物)」が加わり、「めっけもの」となりました。さらに口語で「もの」が「もん」に短縮されて「めっけもん」という形になりました。
「めっけもの→めっけもん」の変化は、日本語の口語で「〜もの」が「〜もん」に縮まる一般的な変化と同じです(「子どもっていうもん(もの)は〜」などでも同様の変化が見られます)。



「もの」が「もん」に縮まるのは自然な口語の変化なんですね。
「目付けもの(めつけもの)」からという説もあり
別説=「目付けもの(目をつけた・狙っていたもの)」が転じたという説
「目をつけた(狙っていた)もの」という意味の「目付けもの(めつけもの)」が変化したという説もあります。「目をつけていたら偶然手に入った」というニュアンスから「めっけもん(思いがけない収穫)」になったという考え方です。
語源については諸説あり、どちらが正確かは確定していません。「見つける→めっける」説の方が現代では広く支持されています。



語源に複数の説があるのも、言葉の歴史の面白さですね。
めっけもんの使い方・例文
「めっけもん」を使った会話の場面を見ていきましょう。
嬉しい発見・意外な収穫の場面で使われる言葉です。
使用例① お得な商品を見つけたとき
セールで掘り出し物を見つけた場面です。



このコート、半額やって!しかもデザインもいいし、これはめっけもんやわ!



(確かにお得だね)いいものが見つかりましたね、迷わず買いですね。
使用例② 穴場の店を発見したとき
路地裏でおいしい食堂を見つけた場面です。



この辺、知ってる店あった?



路地に小さな定食屋あったよ。見た目地味やけどすごくおいしかった。まさにめっけもんやった。
使用例③ 仕事で優秀な人材を迎えたとき
想定外に優秀な新入社員が入ってきた場面です。



今年の新人、もう一人前の仕事してるやないか。



そうなんですよ。採用できてよかったです、めっけもんでした。
めっけもんの類義語や対義語
めっけもんの類義語と対義語を見ていきましょう。
めっけもんの類義語
「めっけもん」に近い言葉には下記のものがあります。
掘り出し物(標準語)
「掘り出し物」は、思いがけず見つけた価値あるものを指す標準語です。めっけもんと同じ意味で使えます。掘り出し物はやや書き言葉的・改まった場面でも使えますが、めっけもんはより口語的です。



「掘り出し物」が標準語で、「めっけもん」が口語・方言版という感じですね。
棚から牡丹餅(ことわざ)
「棚から牡丹餅(たなぼた)」は、思いがけない幸運・労せずして良いものを手に入れることを指すことわざです。「めっけもん」と同様に、予想外の収穫という意味合いで近い言葉になります。



「めっけもん」と「棚から牡丹餅」、どちらも思いがけない幸運を喜ぶ言葉ですね。
めっけもんの対義語
「めっけもん(思いがけない良いもの)」の反対は、期待はずれ・損をしたという感覚を表す言葉になります。
「はずれ」「期待外れ」「損つかみ」が、めっけもんと反対の状況を表します。「あの店はめっけもんだと思ったけど、二回目に行ったらはずれやった」のように対比して使えます。



「めっけもん」と「はずれ」で、発見の喜びと落胆が対になりますね。
めっけもんの豆知識・ちょっといい話
めっけもんをさらに深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
江戸弁の「促音化」が生んだ言葉
「見つける」が「めっける」に変化したのは、江戸弁の「促音(っ)化」という音変化です。
江戸弁では「つ」の音が「っ」になる変化がよく起きます。「きっと(きつと)」「ずっと(ずうと)」「ほっとく(ほうっておく)」なども同じ仕組みです。「みつける」の「みつ」が「めっ」になったのもこの変化の一例です。
江戸弁は今の標準語の大元になった言葉ですが、「めっける」のように現代標準語とは違う形で残っている例が、「めっけもん」という言葉の中に生きています。



江戸弁の音変化が現代まで生き残っているなんて、言葉の歴史が感じられますね。
「めっけもん」は関西でも広く使われる全国語
もとは江戸弁でも、「めっけもん」は関西・九州など西日本でも広く使われる全国的な口語表現として定着しました。
大阪でも「これはめっけもんやな」「ええめっけもんしたな」と使われます。テレビや雑誌のグルメ・旅特集で「穴場のめっけもん」という見出しもよく見かけます。
江戸の言葉が全国に広まったケースとして、「めっけもん」は方言が全国語へと進化していく過程を見せる良い例のひとつです。



江戸弁が全国語化した言葉として、「めっけもん」は面白い歴史を持っているんですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。日常の中でちょっとした掘り出し物や嬉しい発見があったとき、「めっけもん!」という言葉を使ってみてください。