今回は「とっとーと」という方言について解説します。
「とっとーと」とは、福岡(博多)の方言で「取っているよ・取ってある(席などをキープしている)」を意味する言葉です。

「と」が何回も続きますよね。どこで区切れているか分からなくなりそうです。
主に福岡県(博多)を中心とした九州地方で使われます。
この記事では「とっとーと」の意味・どこの方言か・由来・使い方・豆知識まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
とっとーととは?意味は「取っているよ(席をキープしている)」
「とっとーと」の意味=「取っているよ・取ってある」。席や場所をキープしているときに使う博多弁の表現
とっとーとは、福岡(博多)の方言で「取っているよ・取ってあるよ」を意味します。
「その席、とっとーと」=「その席、取ってあるよ(キープしているよ)」という使い方が代表的です。語尾を上げると「取ってるの?」という疑問形になります。
「と」が連続して並ぶため、博多弁を知らない人には何と言ったのかまったく分からない表現のひとつです。



「とっとーと」だけ聞いても「と」が多すぎて何が何やらですね。博多弁の代表例です。
とっとーとはどこの方言?
とっとーと=福岡県(博多弁)を中心とした九州の方言
とっとーとは、福岡県(博多弁)を中心に、佐賀など九州北部でも使われる方言です。
博多弁では動詞の進行・継続形が「〜とーと」「〜よると」などで表されます。「取っているよ」が「とっとーと」になるのはこの文法によるものです。
九州の他地域でも似た言い方がありますが、「とっとーと」のように「と」が連続する形は博多弁の特徴が特に強く出た表現です。



博多弁は「と」の連続が多い方言なんですね。読み解くのが楽しくなってきました。
とっとーとの由来・語源
語源①:「取る+とーと(〜している)」の博多弁文法
「とっとーと」は「取る(動作)+とーと(〜しているよ)」で構成された博多弁の文法表現です。
博多弁では動詞の進行・完了を「〜とーと」「〜よると」で表します。「取っているよ」=「とっとーと」、「食べているよ」=「食べとーと」のように使います。



「取る(とる)+とーと(〜しているよ)」の組み合わせが「とっとーと」になるんですね。構造が分かると面白いです。
語源②:語尾「と」が疑問・断定の両方を担う博多弁の特徴
博多弁では語尾の「と」が「〜の?(疑問)」「〜だよ(断定)」の両方を表せる点も「とっとーと」の理解を難しくする要因です。
語尾を上げれば「取ってるの?(疑問)」、語尾を下げれば「取ってるよ(断定)」になります。同じ「とっとーと」でも抑揚が意味を変えるため、文字だけでは分かりにくい表現です。



抑揚だけで疑問か断定かが変わるとは。博多弁は抑揚が大事な方言なんですね。
語源③:「と」が4つ並ぶ超高難度バリエーション
博多弁には「とっとーと」以上に「と」が連続する表現もあり、その極端な例が有名な早口言葉の一文です。
「おっとっととっとってっていっとったとになんでとっとってくれんかったと」という一文があります。これはお菓子の「おっとっと(主語)」を使った博多弁早口言葉で、「おっとっとを取っておいてと言っていたのに、なぜ取っておいてくれなかったの」という意味です。



読んでいるだけで「と」が何個あるか分からなくなりますね。これを早口で言うのは相当難しそうです。
とっとーとの使い方・例文
「とっとーと」は席・場所・ものをキープしている場面でよく使います。語尾の上下で疑問・断定を使い分けます。
使用例① 席を取っておいたことを伝える場面
カフェや食堂で席をキープしていることを伝えるときに使います。



あの窓際の席、もうとっとーとよ。早よ来て。



ありがとう。「とっとーと」が「取ってあるよ」の意味なんですね。
使用例② 「取ってるの?」と確認する場面
語尾を上げると疑問形になります。



その席、まだとっとーと?(語尾上げ)



うん、とっとーとよ。もうすぐ来るけん待っといて。
使用例③ 博多弁を知らない人が混乱する場面
道外や外国人の方が「とっとーと」を聞いて「何を言っているのか」と戸惑う場面は博多あるあるです。



その席、とっとーとやけん座らんといて。(その席は取ってあるから座らないで)



え?「とっとーと」って何ですか?全部「と」に聞こえるんですが。(他県の人)
とっとーとの類義語・対義語
とっとーとの類義語
取っているよ・キープしているよ・場所取りしてるよ(標準語)
標準語では「取ってあるよ」「キープしているよ」「場所取りしてるよ」が対応します。他地域の似た方言では、大阪弁の「とったるで(取っておいてやるよ)」などが近い状況で使われます。



「取っているよ」があれだけコンパクトに「とっとーと」にまとまるとは。博多弁の効率性を感じます。
とっとーとの対義語
取っとらんよ(取っていないよ)・空いとるよ(空いているよ)
博多弁での対義語にあたる表現は「取っとらんよ(取っていないよ)」「空いとるよ(空いているよ)」です。



「取っとらんよ」も「と」が多いですね。博多弁はどこに行っても「と」だらけです。
とっとーとの豆知識・ちょっといい話
「とっとーと」は博多弁の中でも特に有名な表現で、さまざまな話題を生み出しています。
「と」が連続する博多弁早口言葉が外国人に衝撃を与えた
「とっとーと」を含む博多弁の早口言葉「おっとっととっとってっていっとったとに…」はテレビやSNSで何度も話題になり、博多弁の代名詞的な表現として広まっています。
「と」だけで構成されているように見えるこの文章を聞いた外国人が「え、これ本当に意味があるの?」と驚く動画などが話題になったことがあります。「と」を分解して意味を説明すると、ちゃんと文章になっていることが分かって二度驚くのが定番の流れです。



「と」だらけの文章がちゃんと意味を持つと分かったときの驚きは確かにありますね。
博多弁の「と」は語尾として万能に活躍する
博多弁では「と」が語尾として「疑問・断定・強調」を表す万能な語尾で、「とっとーと」は文法の面白さが凝縮された表現です。
「行くと?(行くの?)」「行くとよ(行くんだよ)」「行ったと?(行ったの?)」のように、「と」の抑揚だけで意味が変わります。博多弁を初めて学ぶ人が最初に戸惑うポイントの一つですが、慣れてくると抑揚の変化が耳で聞き取れるようになります。



「と」一文字が疑問にも断定にもなるとは、博多弁の文法は奥が深いですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。博多に行ったとき「とっとーと」が聞き取れたら、方言マスターに一歩近づいています。