今回は「ばらかもん」という長崎県・五島列島の方言について解説します。
「ばらかもん」の意味=元気者・活発な人・荒くれ者
「ばらかもん」は長崎県の五島列島で使われる方言で、「元気で向こう見ずな人・活発な人」を意味します。

あの子、ばらかもんやけん!何でも全力でかかってくるよ。
主に長崎県・五島列島で使われる言葉です。
この記事では意味・どこの方言か・由来・使い方・類義語まで深掘りしています。興味がある方は記事の続きへどうぞ。
ばらかもんとは?意味は「元気者・活発な人」
「ばらかもん」の意味=元気者・荒くれ者・向こう見ずな活発な人
「ばらかもん」は、元気で活発で、やや向こう見ずなところがある人を指す五島列島の方言です。
ネガティブな意味よりも、エネルギッシュで豪快な人物像を表すことが多く、「荒くれ者だけど憎めないやつ」というニュアンスが近いです。
大人から子どもまで使える言葉で、活発すぎる子どもを見て「あの子はばらかもんやね」と言うような場面でよく使われます。



また転んだか。ほんとにお前はばらかもんやな。
ばらかもんはどこの方言?
ばらかもん=長崎県・五島列島の方言
「ばらかもん」は長崎県南西部の離島群・五島列島で使われる方言です。
五島列島は福江島をはじめとする大小約140の島からなる島嶼地域で、独自の方言が色濃く残っています。本土の長崎市周辺でも「ばらか」という語は使われますが、「ばらかもん」という形は特に五島で定着した言い回しです。
県外にはほぼ通じない言葉でしたが、2014年のドラマ放送をきっかけに全国に知られるようになりました。



「ばらかもん」って初めて聞いたけど、どこの言葉ですか?



長崎の五島列島の方言で、元気者という意味ですよ。
ばらかもんの由来・語源
語源①:「ばらか」+「もん(者)」の組み合わせ
「ばらかもん」は「ばらか(元気・活発)」と「もん(者・人)」を組み合わせた言葉です。
「ばらか」は五島列島で「元気がある・荒々しい・向こう見ず」を表す形容詞として使われています。「もん」は九州各地で広く使われる「者(人)」を意味する方言語尾で、「ばらかもん」で「元気な人・荒くれ者」という名詞になります。
同じ長崎でも「ばらもん」という短い形もあり、主人公たちが住む福江島の富江地区で「か」が入り「ばらかもん」になったと言われています。



「元気もの」がそのまま方言になってるのか。わかりやすい語源ですね。
語源②:「ばらもん凧」との関係
五島列島には「ばらもん凧」という郷土玩具があり、「ばらか(荒々しく勇ましい)」という意味が込められています。
「ばらもん凧」は鬼の顔を描いた大型の和凧で、五島列島に伝わる伝統工芸品です。強風でも飛ばせる頑丈な作りと勇ましいデザインが「ばらか(元気・荒々しい)」という言葉のイメージを体現しています。凧と「ばらかもん」が同じ「ばらか」という語根を持つことからも、この語が五島の気風を表す言葉として根付いていたことがわかります。



郷土の凧にも同じ言葉が使われているとは、文化に深く根付いた方言なんですね。
語源③:五島列島の島民気質を表す言葉として
五島列島は古くから漁業で栄え、荒海に立ち向かう気概が暮らしに染みついた地域です。
「ばらかもん」という言葉には、荒波と向き合ってきた島の人々の豪快さや根性、エネルギーが込められているともいわれます。単なる罵倒語ではなく、活力にあふれた人物を指す地域文化を背景に持つ言葉です。



離島の暮らしと方言がつながっているとは、面白い見方ですね。
ばらかもんの使い方・例文
「ばらかもん」を使った会話を見ていきましょう。
元気すぎる子どもや、豪快な人物をほめる・からかう場面で使われます。
使用例① 活発な子どもを見て
やんちゃでエネルギッシュな子を見たときの使い方です。



あの子、また木に登ってるよ。



ははは、あの子はばらかもんやけん。止まらんよ。
使用例② 向こう見ずな行動に対して
無茶をして突き進む人を指すときにも使います。



台風の日も漁に出るって本当?



うん、あの人はばらかもんやから怖いもんなしやよ。
使用例③ 自分のことを謙遜して使う
自分の無鉄砲さを自虐的に表すときにも使えます。



また一人で先に進んだの?



すまん、わしはばらかもんやけん、後のことを考えんで動いてしまうと。
ばらかもんの類義語・対義語
「ばらかもん」の類義語と対義語を見ていきます。
ばらかもんの類義語
いごっそう(高知の方言)
「いごっそう」は高知の方言で「頑固で意志の強い男性・気骨のある人」を指します。「ばらかもん」と同じく地域の男性気質を表す言葉で、どちらも豪快さや強さを持つ人物に使われます。



地域の「頼れる豪快な人」を表す言葉は全国に似たものがあるんですね。
元気者・やんちゃ(標準語)
標準語では「元気者」「やんちゃ」が最も近い表現です。「ばらかもん」ほどのエネルギーや向こう見ずさは伝わりにくいですが、活発さを表す語として近いニュアンスを持ちます。



「元気者」や「やんちゃ」では伝わらない豪快さが「ばらかもん」にはありますよね。
ばらかもんの対義語
「ばらかもん」に明確な対義語はありませんでした。
あえて挙げるなら、静かでおとなしい人を表す五島弁の「おとなしか(おとなしい)」や、慎重な人を指す語が反対のニュアンスに近くなります。
ばらかもんの豆知識・ちょっといい話
「ばらかもん」をもっと楽しめる、ちょっとした小話を紹介します。
漫画・ドラマ「バラカモン」で全国区に
「バラカモン」はヨシノサツキ原作の漫画で、2009年から連載がスタートし2014年にフジテレビでドラマ化されました。
ドラマは主演・山田涼介で、都会から五島列島に移住した書道家が島民たちと交流しながら成長する物語です。五島の方言や文化が丁寧に描かれたことで、「ばらかもん」という言葉を初めて知った視聴者が急増しました。作中では島の子どもたちの元気すぎる様子を指して「ばらかもん」が使われており、まさに方言の意味を体現したタイトルです。



そのドラマで初めて五島列島の方言を知ったという人も多いはず。
「ばらもん凧」は五島の誇り
五島列島の伝統工芸「ばらもん凧」は、高さ1メートルを超す大型の和凧で、男の子の誕生祝いに贈る風習が今も続いています。
凧に描かれた鬼の顔は魔除けの意味を持ち、強風でも空高く舞い上がるその姿が「ばらか(荒々しく勇ましい)」という言葉の象徴とされています。「ばらかもん」という方言と「ばらもん凧」は同じ「ばらか」という語根を持つ兄弟のような存在で、五島の文化を語るうえで欠かせないキーワードです。



凧と方言が同じ語源でつながっているとは、五島の文化の奥深さを感じますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「ばらかもん」の意味と五島の文化を知ったうえで、ぜひ長崎の離島文化をもっと楽しんでみてください。