今回は「忌」という言葉の意味について解説します。
「忌」とは、死・不浄・けがれを「忌む(いむ)」こと、またはそうした事柄を避けるべき状態・期間・言葉を指す概念です。

「忌引き」という言葉でよく聞くけれど、「忌」そのものの意味は意外と曖昧なままという人も多いですよね。
読み方は「き」「いみ」の両方があり、動詞「忌む(いむ)=不吉・不浄なものを恐れ避ける」という語が語源です。
この記事では「忌」の詳しい意味や語源、忌引き・忌み言葉・忌日の使い方、類義語・対義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
忌とは?意味は「不浄・タブーを忌み嫌い避けること」
「忌(き/いみ)」の意味=死・不浄・けがれを恐れ嫌って避けること、またはそうした状態・期間のこと
「忌」は、神道や仏教の文化的背景から生まれた概念で、死・不浄・けがれに近づくことを避け、心身を清めた状態を保つべきとされる状態や行為を表します。
日常でよく使われる「忌引き(きびき)」は「身内の死によって生じる喪の状態=忌に引かれた休暇」のこと、「忌み言葉(いみことば)」は「その場にふさわしくないとされる不吉な言葉」のことです。
「忌」には「き」と「いみ」の読み方があり、熟語によって読み方が変わります。「忌引き(きびき)」「忌日(きにち)」は「き」、「忌み言葉(いみことば)」「忌む(いむ)」は「いみ」と読みます。



「忌引き」も「忌み言葉」も、根っこは同じ「忌」という字なんだね。
忌の語源・由来は「忌む(いむ)」という動詞にある
語源=「忌む(いむ)」=神聖なもの・不浄なものへの畏れから、近づくことを避ける行為
「忌」の語源は、動詞「忌む(いむ)」にあります。「忌む」とはもともと、神聖なものや穢れたものに対して畏れを持ち、それに触れることを慎む・避けるという意味の古語です。
神道では、死や血は「けがれ(穢れ)」とされ、その状態にある人は神社への参拝や祝い事を控えるべきとされていました。このように「けがれを持つ状態=忌の状態」として使われるようになりました。
仏教が伝来した後も、死に際して清めを保つ考え方は続き、「忌中(きちゅう)」「忌明け(きあけ)」といった語が生まれました。「忌中」は故人の死後49日間の喪の期間を指し、「忌明け」はその期間が終わることです。



元々は「聖なるものへの畏れ」から来ているのか……神聖さと不浄さが表裏一体という感じで興味深いですね。
忌の使い方・例文
「忌」を含む言葉を、代表的な場面で見ていきましょう。
忌引きから忌み言葉、忌日まで、それぞれ使う場面が異なります。
使用例① 忌引き(きびき)―身内の訃報で職場・学校を休む
身内が亡くなったとき、喪の期間(=忌の状態)に引かれて休暇を取ることを「忌引き」と言います。



急な連絡で申し訳ないのですが、祖父が昨夜亡くなりまして……忌引きで3日ほどお休みをいただけますでしょうか。



もちろんです。忌引き休暇を取得してください。手続きは落ち着いてからで構いません。
使用例② 忌み言葉(いみことば)―祝い事・弔事の場で避ける言葉
結婚式や葬儀など特定の場面で使ってはいけないとされる言葉を「忌み言葉」と言います。結婚式では別れや不幸を連想させる言葉、葬儀では不幸が重なることを連想させる言葉が忌み言葉とされます。



結婚式のスピーチで「終わる」とか「切れる」って言ったらダメって聞いたけど、本当に?



そうです。「別れ」「終わり」「壊れる」などは忌み言葉なので、「結ぶ」「結婚」「新たな始まり」などに言い換えるのがマナーです。
使用例③ 忌日(きにち)・忌中(きちゅう)―故人を偲ぶ日・期間
「忌日」は故人の命日(毎月または毎年)を指し、「忌中」は亡くなってから49日間の喪の期間を指します。



今月は祖母の忌日なので、家族で仏壇にお参りしました。お祝い事はまだ忌中なので控えようと思っています。



忌中は慶事を避ける期間でもありますね。忌明けまでは派手な外出も控えるご家庭が多いです。
「忌」の類義語・対義語
「忌」の類義語
禁忌(きんき)
「してはいけないこと」「避けるべき事柄」という意味で使われます。「忌」よりも強い禁止のニュアンスがあり、宗教・医療・文化的な文脈で幅広く使われます。
タブー
英語の “taboo” が日本語化した言葉で、「社会的・文化的に禁じられている行為・言動」を指します。「忌」の意味を最も広くカバーする外来語です。
穢れ(けがれ)
神道の概念で、死・血・病などによって生じる「不浄の状態」を指します。「忌」の状態に入る原因そのものを指す言葉です。
忌避(きひ)
「特定の人・物・状況を嫌って避けること」を指します。「忌む」と同じ語根で、法律用語(裁判官の忌避申立て)や一般語(NIMBY的な忌避感)でも使われます。



「禁忌」も「タブー」も「穢れ」も、根本は「近づいてはいけない」という感覚なんですね。
「忌」の対義語
祓い・浄め(はらい・きよめ)
神道の概念で、穢れや忌の状態を清め取り除く行為です。「忌(けがれた状態)」に対し、「浄め(清めた状態)」が対になります。
忌明け(きあけ)
「忌」の期間が終わること。喪の状態から解放され、日常生活に戻れる節目を指します。仏教では49日が明けることが「忌明け」にあたります。



「忌明け」が対義語にもなるのは面白いですね。「忌」の状態が「終わる」概念が言葉に含まれています。
忌の豆知識・ちょっといい話
「忌」にまつわる、意外と知られていないプチ知識を2つ紹介します。
①忌み言葉は「結婚式用」と「葬儀用」でリストが別々にある
忌み言葉は場の性質によって「何を避けるか」がまったく違います。
結婚式では「切れる・別れる・終わる・壊れる・去る・帰る」など別れや終わりを連想させる言葉がNG。「たびたび・重ね重ね・再び」などの重ね言葉も「再婚を連想させる」として避けられます。
一方、葬儀では「重ね重ね・再び・また・ますます・たびたび」のような重ね言葉が「不幸が繰り返す」を連想させるとしてNGになります。「死ぬ・苦しむ・終える」なども直接的すぎるとして避けます。



慶事と弔事で全然違うリストがあるの?「重ね言葉」がどちらでもNGなのは知らなかった!
②「忌引き」の日数は法律で決まっていない
「忌引きは何日休める?」という疑問、実は労働基準法には忌引き休暇の規定がありません。
忌引きは各企業の就業規則で定める「特別休暇」の一種です。一般的な目安としては、配偶者・実父母の場合は5〜10日程度、祖父母・兄弟姉妹の場合は2〜3日程度とされることが多いですが、会社によって大きく異なります。
就職活動時や転職時に確認しておくと安心です。有給休暇の扱いにするかどうかも会社次第で変わります。



え、忌引きって法律で決まってないの?じゃあ会社によっては1日だけとかもあり得るのか……。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「忌引き」「忌み言葉」「忌中」など日常で使う言葉の背景に「忌む」という概念があることを知っておくと、場面に合った使い方がしやすくなります。