「おいでやす」は京都弁?「おこしやす」との違いと意味・由来を解説

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今回は「おいでやす」という方言について解説します。

「おいでやす」とは、いらっしゃいませ・ようこそという意味の京都の方言(京ことば)です。

おいでやす。ゆっくりしておいでやす。

京都の商家や旅館でお客さまを出迎える言葉として使われてきました。よく似た言葉に「おこしやす」がありますが、使うタイミングが少し異なります。

この記事では意味・どこの方言か・由来・使い方・類義語まで深掘りしています。興味がある方は記事の続きへどうぞ。

目次

「おいでやす」とは?意味は「いらっしゃいませ」

「おいでやす」の意味=いらっしゃいませ・ようこそ(来客への歓迎の挨拶)

「おいでやす」は、お客さまを迎えるときの歓迎の言葉です。標準語の「いらっしゃいませ」に対応しますが、京都の日常生活や商売の場で長く使われてきた温かみのある表現です。

「お出でやす」と漢字で書き、「出で(来る・出向く)」に京ことばの敬語語尾「やす」が付いた形です。来客への礼儀と歓迎の気持ちをていねいに伝える言葉として、特に祇園など京都の花街や老舗のお店で長く使われてきました。

「おいでやす」と言われると、京都らしい上品な雰囲気が感じられますね。

「おいでやす」はどこの方言?

「おいでやす」=京都府(京ことば)の方言。特に洛中の商家・花街で使われてきた

「おいでやす」は京都の京ことば(京都方言)です。千年以上にわたって日本の都であった京都で育まれた言葉で、単なる地方方言ではなく「日本の雅な言葉の源流」として扱われることもあります。

現代では京都の全員が日常的に使うわけではありませんが、老舗の旅館・料亭・お茶屋・和菓子屋などでは今も接客の言葉として使われています。観光で京都を訪れた際に耳にする機会が多い言葉の一つです。

全員が使うわけではなく、特定の場所や場面で生きている言葉なんですね。

「おいでやす」の由来・語源

語源①:「お出で(おいで)」+「やす」の組み合わせ

「おいでやす」は「お出で(来ること・おいでになること)」+「やす(京ことばの敬語語尾)」から成り立っています。「おいで」は「来る・いらっしゃる」を意味する尊敬語で、現代語の「おいでください(来てください)」と同じ「いで(出る)」が語源です。

「やす」は京ことばに広く見られる敬意を示す語尾で、「ありがとうやす(ありがとうございます)」「おおきに(ありがとう)」など、京都の言葉に独特の柔らかさを生み出しています。

「やす」という語尾が、言葉全体に京都らしいやわらかさをプラスしているんですね。

語源②:「おこしやす」との使い分けに込められた心遣い

よく混同される「おこしやす」との違いを知ると、京ことばの繊細さが見えてきます。「おいでやす」は初めての客・不意に来た客に「おこしやす」は約束をして来た客・遠方から来た客に使うとされています。

「おこしやす」は「お越しやす(遠方をいとわず来てくださった)」という意味で、遠くから足を運んでくれた人へのより深い感謝のニュアンスがあります。一方「おいでやす」は気軽に来てくれた人へのさりげない歓迎として使われます。どちらが上か下かではなく、場面に応じた使い分けが京ことばの礼儀作法の一つです。

同じ「いらっしゃいませ」でも、相手によって言葉を使い分けるとは。京都の繊細な気遣いが伝わります。

語源③:逢坂山を越えてくる来客への労い

「おこしやす」の語源についての説として、江戸時代に京都へ来るには逢坂山(滋賀との境)を越えてくる旅人が多かったという歴史的背景があります。長い道のりをかけて来てくれたことへの労いの気持ちが「お越しやす(わざわざ来てくださって)」という言葉に込められたとされています。対照的に「おいでやす」はもう少し日常的な来客への挨拶として定着したと伝えられています。

言葉の背景に旅の歴史があるとは。昔の交通事情を想像すると、感謝の深さが伝わりますね。

「おいでやす」の使い方・例文

「おいでやす」は主にお客さまを迎える場面で使います。日常会話では「おいでやす」単独で使うことも、後に言葉を続けることもあります。

使用例① お客さまを迎えるとき

店やお宅にお客さまが来たときの歓迎の言葉として使います。

おいでやす。ゆっくりしておいでやす。今日は何かお探しですか?

ありがとうございます。少し見せていただきます。

使用例② 旅館や料亭でのお出迎え

京都の宿や料理店では、到着したお客さまへの出迎えで使われます。

おいでやす。お待ちしておりました。どうぞ中へ。

ありがとうございます。楽しみにしていました。

使用例③ 「おこしやす」との使い分け

初めて来る客には「おいでやす」、事前に約束していた客には「おこしやす」を使う場面の例です。

(初見の客に)おいでやす。何かお探しですか?

(予約の客に)おこしやす。遠いところをようお越しやす。

「おいでやす」の類義語・対義語

「おいでやす」の類義語

いらっしゃいませ・ようこそ・よくいらっしゃいました・おこしやす(より丁寧)

標準語での対応は「いらっしゃいませ」「ようこそ」です。格式のある場面では「よくいらっしゃいました」も使います。同じ京ことばの「おこしやす」はより丁寧な歓迎の言葉です。

他地域の似た歓迎の方言としては、沖縄の「めんそーれ(いらっしゃいませ)」、岩手の「よぐきたじゃ(よく来てくれた)」などがあります。いずれも来客への温かい歓迎が言葉に込められています。

沖縄の「めんそーれ」と京都の「おいでやす」、どちらも温かい歓迎の気持ちは同じですね。

「おいでやす」の対義語

「いらっしゃいませ(来ることへの歓迎)」の対義として、「お気をつけて(帰りを見送る言葉)」「またのお越しをお待ちしております」などが対になる表現です。京ことばでは見送りの言葉として「おきばりやす(お達者で・がんばって)」も使われます。

「おいでやす」の豆知識・ちょっといい話

「おいでやす」と「おこしやす」の使い分けは、京都人の気遣いを象徴するエピソードとしてよく語られます。言葉の背後に長い文化の歴史があります。

「おこしやす=おいでやすより上」ではない

よく誤解されるのが「おこしやすの方がおいでやすより格上」という理解です。どちらが上下ではなく、相手と場面による使い分けというのが京都の言葉の考え方です。遠方から来た方・約束して来た方への「おこしやす」と、気軽に来た方への「おいでやす」は、相手へのそれぞれの思いやりの表現です。お客さまの状況を見てさりげなく使い分ける繊細さが、京ことばの奥深さといえます。

「格上・格下」でなく「場面の使い分け」とわかると、京都の方言がより立体的に見えますね。

観光地・祇園でよく聞く「おいでやす」

京都・祇園の老舗や花街では今も「おいでやす」が現役で使われています。祇園の茶屋やお座敷では、一見のお客さまへの最初の声かけが「おいでやす」です。京都を旅したとき、この言葉を耳にしたら「あ、一見のお客として迎えてもらっている」というサインだと受け取れます。また「おこしやす」を言われたら、お店やお宿があなたの来訪を心待ちにしていたという意味になります。

「おいでやす」か「おこしやす」か、次に京都へ行ったときにどちらを言われるか聞いてみたいです。

明日から使えるプチ知識:「おいでやす(お出でやす)」は初めての客・気軽に来た客への歓迎、「おこしやす(お越しやす)」は遠方から来た客・約束の客への丁寧な歓迎です。どちらが上下ではなく場面で使い分けるのが京都の礼儀。京都旅行の際、どちらの言葉で迎えられるか注目してみると、お店との関係性が見えてきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「おいでやす」の意味と「おこしやす」との使い分けを知ることで、京都の奥深い言葉の世界をより楽しんでいただければ幸いです。

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