今回は「ぼっけぇ」という方言について解説します。
「ぼっけぇ」とは、とても・すごく・非常にといった意味で、程度を強めるときに使う方言です。

「ぼっけぇうまい」「ぼっけぇ寒い」のように、気持ちをこめて程度を強められる言葉なんですよ。
主に岡山県(備前・備中など)で使われます。
この記事では「ぼっけぇ」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
ぼっけぇとは?意味は「とても・すごく」
「ぼっけぇ」の意味=とても・すごく・非常に。程度を強める言葉
ぼっけぇは、「うまい」「寒い」「怖い」などの前につけて、その程度をぐっと強める言葉です。
標準語の「とても」「すごく」、北海道の「なまら」と同じ働きをします。
うれしいときも、つらいときも、強い気持ちをのせて使えるのが便利なところです。
「ぼっけぇうまい」と言えば、ただおいしいだけでなく、思わず声が出るほどおいしいという気持ちが伝わります。
「ぼっけえ」「ぼっけー」と書かれることもありますが、どれも同じ言葉です。



岡山の方が気持ちをこめて話すときに、自然と口から出る言葉ですね。
ぼっけぇはどこの方言?
ぼっけぇ=主に岡山県(備前・備中など)の方言
ぼっけぇは、岡山県でよく使われる方言です。
岡山には「とても・すごく」を表す言葉が三つあり、「でーれー」「ぼっけぇ」「もんげー」が代表とされています。
使われる割合では「でーれー」が一番多く、「ぼっけぇ」がそれに次ぐとされ、「もんげー」を実際に使う人は少ないとも言われます。
この三つの中でも、岡山らしい方言らしさが強い言葉として「ぼっけぇ」を挙げる声もあります。



岡山では「とても」を表す言葉が三つもあるのは、知らないと驚きですね。
ぼっけぇの由来・語源
ぼっけぇの由来には諸説あり、はっきりとは定まっていません。整理して見ていきましょう。
語源:諸説あり、はっきり定まっていない
由来=諸説あり。確実な定説はないとされる
ぼっけぇの語源は、いくつかの説が言われていますが、これと決まった定説はありません。
古くから岡山で使われてきた言葉で、もとになった語をはっきりたどるのは難しいとされています。
同じ岡山の「でーれー」が「どえらい」から来たと説明されるのに対し、「ぼっけぇ」の由来は確かなことが言いにくいのが正直なところです。



無理に由来を決めつけず、諸説あると知っておくのがいちばん安心ですね。
「でーれー」とのちがい
「でーれー」=なまり寄り/「ぼっけぇ」=方言らしい言葉という見方
「でーれー」は「どえらい」のなまりに近く、「ぼっけぇ」はより岡山らしい方言だと整理されることがあります。
意味はどれもほぼ同じですが、響きやなりたちには違いがあると考えられています。
「でーれー」がよく耳に入る一方で、「ぼっけぇ」には岡山の言葉らしい味わいがあると感じる人もいます。



同じ「とても」でも、言葉ごとに少しずつ印象が変わるのはおもしろいですね。
「大きい」の意味で使う地域もある
「ぼっけぇ」は基本的に「とても・すごく」と程度を強める言葉です。
地域や場面によっては、太っ腹や気前のよさといった様子を表すように使われることもあると言われます。ただし、いまの岡山では「とても・すごく」の意味で使うのが中心です。



まずは「とても・すごく」の意味でおぼえておけば、まちがいなさそうですね。
ぼっけぇの使い方・例文
「ぼっけぇ」を使った会話を見ていきましょう。
岡山弁の語尾「〜じゃ」「〜が」と合わせると、より自然になります。
使用例① 食べ物がおいしいとき
お店で出てきた料理に感動している場面です。



このままかりぼっけぇうめぇが、もう一皿たのもうかな。



(よっぽど気に入ったのね)じゃあ私もおなじのを注文しちゃおうかな。
使用例② 寒さが厳しいとき
冬の冷えこみがきびしい朝の場面です。



今朝はぼっけぇ寒いが、手がかじかんでしもうたわ。



(相当こたえているのね)あたたかい飲み物でも買っていこうか。
使用例③ 感想を伝えるとき
見てきた映画の感想を話している場面です。



あの映画ぼっけぇ良かったわ、最後まで目がはなせんかった。



(そんなに感動したのね)それは私も次は観てみたくなったな。
ぼっけぇの類義語や対義語
ぼっけぇの類義語と対義語についても見ていきましょう。
ぼっけぇの類義語
ぼっけぇに近い標準語や、他地域の似た方言には下記のものがあります。
とても・すごく・めっちゃ(標準語・関西)
とても・すごくは、程度を強める標準語です。くだけた場面では関西の「めっちゃ」も近く、どれも「ぼっけぇ」と同じ働きをします。



「ぼっけぇうまい」は「めっちゃうまい」とほぼ同じ気持ちですね。
でら(名古屋・東海の方言)/なまら(北海道の方言)
でらは名古屋を中心とした東海地方、なまらは北海道で使われる「とても・すごく」を表す方言です。「でらうまい」「なまらうまい」のように、ぼっけぇと同じく程度を強めます。



地域ごとに「とても」を表す言葉があるのは、おもしろいところです。
ばり(福岡の方言)
ばりは、福岡などで使われる「とても・すごく」を表す方言です。「ばりうまい」のように使い、ぼっけぇと同じ強調の役割を持ちます。



同じ意味でも、地域が変わると言葉の響きがずいぶん変わりますね。
ぼっけぇの対義語
ぼっけぇは程度を強める言葉なので、反対は程度の弱さを表す言葉になります。
標準語の「ちょっと」「少し」が、ぼっけぇと反対の感覚にあたります。「ぼっけぇ寒い」に対して「ちょっと寒い」と言えば、程度がぐっと弱まります。



強めたいときは「ぼっけぇ」、控えめに言いたいときは「ちょっと」ですね。
ぼっけぇの豆知識・ちょっといい話
ぼっけぇをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
ホラー小説「ぼっけえ、きょうてえ」で全国に知られた
「ぼっけぇ」を全国に広めたのが、岩井志麻子さんのホラー小説「ぼっけえ、きょうてえ」です。
タイトルは岡山弁で「とても、怖い」という意味で、日本ホラー小説大賞を受賞した作品です。岡山の言葉を巧みに使い、独特の怖さを生んでいると評されています。



方言が、物語の怖さをぐっと引き立てているというのも興味深い話ですね。
「きょうてえ」は「怖い」という岡山弁
「ぼっけえ、きょうてえ」の「きょうてえ」は、岡山弁で「怖い・恐ろしい」を表します。
つまり「ぼっけえ、きょうてえ」をつなげると「とても、怖い」となります。「ぼっけぇ」が程度を強め、「きょうてえ」が怖さを表す、岡山弁らしい組み合わせです。



言葉の意味がわかると、タイトルの怖さがいっそう伝わってきますね。
岡山には「とても」を表す言葉が三つある
岡山には「ぼっけぇ」のほかに「でーれー」「もんげー」と、「とても」を表す言葉が三つあります。
同じ意味の言葉が三つもそろっているのは、めずらしいことです。中でも日ごろよく使われるのは「でーれー」で、「ぼっけぇ」がそれに続くと言われています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。岡山で「ぼっけぇ」と耳にしたら、強い気持ちをこめて程度を強めているのだと思い出してみてください。