今回は「だら」という方言について解説します。
「だら」とは、ばか・あほといった意味で使う方言です。

「なにしとるだら」のように、親しみをこめて軽く使えることも多い言葉なんですよ。
主に富山・石川・能登を中心とした北陸地方で使われます。
この記事では「だら」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
だらとは?意味は「ばか・あほ」
「だら」の意味=ばか・あほ。軽くたしなめるときの言葉
だらは、標準語の「ばか」「あほ」にあたる言葉で、相手をたしなめたり、からかったりするときに使います。
強い罵倒というより、関西の「あほ」のように、軽い気持ちで使われることが多いのが特徴です。
失敗した相手に「だらやなあ」と言えば、責めるというより、あきれつつ笑うようなやわらかい響きになります。
愛情をこめて「だらぶち」「だらま」と言うこともあり、必ずしもきつい言葉ではありません。



北陸の方が、親しい相手に軽くつっこむときに使う言葉ですね。
だらはどこの方言?
だら=富山・石川・能登を中心とした北陸地方の方言
だらは、富山県や石川県、能登地方で広く使われる方言です。
北陸では「ばか」「あほ」よりも「だら」のほうが日常的で、軽い口ぐせのように使われています。
同じ「だら」でも、富山と石川では強さやニュアンスが少しずつ異なり、地域ごとの色があります。
北陸以外の人が聞くと「ばか」と同じきつさに感じやすいので、受け取り方には少し注意が必要です。



北陸では「ばか」より「だら」のほうが、ぐっと身近な言葉なんですね。
だらの由来・語源
だらの由来には、もとになった言葉や他地域とのつながりがあります。順に見ていきましょう。
語源:「足らず」から変化した説
有力説=「足らず(たらず)」が変化して生まれたという説
だらは、「足りない」という意味の「足らず」が語源とされています。
知恵や考えが「足りない」という意味から、「ばか・あほ」を表す言葉になっていったと考えられています。
山陰地方で「ばか」を表す「だらず」とも共通しており、同じ「足らず」から枝分かれした言葉だとされています。



「足りない」が「ばか」につながるのは、言われてみると納得ですね。
「あほんだら」とのつながり
「あほんだら」の「だら」とつながるという見方もある
「あほんだら」という言葉の「だら」と関わりがあるという見方もあります。
「あほんだら」は、江戸時代に大道芸人が広めた「阿呆陀羅経(あほだらきょう)」という語りものに由来すると言われています。
諸説あるものの、「足らず」説が有力とされ、こうした語りものの言葉とも響き合いながら使われてきたと考えられています。



「あほんだら」の後ろにも「だら」がいると思うと、つながりを感じますね。
「だらぶち」「だらま」という言い方
だらには「だらぶち」「だらま」といった言い方もあります。
きつく聞こえそうですが、親しい相手には愛情をこめて使われることも多く、必ずしも強い罵倒ではありません。



「だらぶち」も、親しい間柄なら笑いまじりに使える言葉なんですね。
だらの使い方・例文
「だら」を使った会話を見ていきましょう。
富山弁の語尾「〜ちゃ」「〜やちゃ」と合わせると、より自然になります。
使用例① うっかりミスをした相手に
友達がうっかり忘れ物をした場面です。



また財布忘れてきたん、だらやなあ。



(あきれられちゃった)ほんとだ、うっかりしてたよ。
使用例② 冗談まじりにつっこむとき
友達がふざけたことを言った場面です。



なに言うとるんだら、そんなわけないやろ。



(笑ってつっこまれた)冗談だってば、本気にしないでよ。
使用例③ 自分の失敗にあきれるとき
自分のミスに思わずつぶやく場面です。



同じ失敗くりかえして、自分でもだらやと思うわ。



(落ちこんでるのね)だれにでもあることだから、気にしないで。
だらの類義語や対義語
だらの類義語と対義語についても見ていきましょう。
だらの類義語
だらに近い標準語や、他地域の似た方言には下記のものがあります。
ばか・あほ(標準語・関西)
ばかは標準語、あほは関西でよく使われる言い方です。だらは、関西の「あほ」のように、軽くたしなめる気持ちで使われる点が近いです。



「だらやなあ」は「あほやなあ」とほぼ同じ気持ちですね。
だらず(山陰地方の方言)
だらずは、鳥取や島根など山陰地方で「ばか」を表す方言です。だらと同じ「足らず」から生まれた言葉とされ、近い仲間にあたります。



同じ語源から、地域ごとに少しずつ形が変わったんですね。
たわけ(名古屋・東海の方言)
たわけは、名古屋など東海地方で「ばか・あほ」を表す方言です。だらと同じく、相手を軽くたしなめるときに使われます。



同じ意味でも、地域が変わると言葉の響きがずいぶん変わりますね。
だらの対義語
だらは知恵や考えが足りない様子を表すので、反対は賢さを表す言葉になります。
標準語の「賢い」「利口」が、だらと反対の感覚にあたります。「だらやなあ」と言いたくなる場面とは逆の、機転のきく様子を表します。



うっかりは「だら」、しっかり者は「利口」と覚えておくとわかりやすいですね。
だらの豆知識・ちょっといい話
だらをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
「ばか」より軽い罵倒として使い分けられる
北陸では、「ばか・あほ」を強い罵倒、「だら」を軽い罵倒として使い分けることがあります。
テレビなどの影響で「ばか」「あほ」も使われるようになった結果、もとからある「だら」とで強さの差が生まれたと言われています。同じ「ばか」の意味でも、言葉によって温度が変わるおもしろい例です。



強さで使い分けているとは、北陸の方らしい感覚ですね。
山陰の「だらず」と同じ語源
だらは、山陰地方で「ばか」を表す「だらず」と、同じ「足らず」から生まれた言葉とされています。
北陸と山陰という、離れた地域に同じ語源の言葉が残っているのは興味深いところです。言葉が日本海沿いに伝わっていった様子を想像させます。



離れた地域に同じ語源の言葉が残るとは、おどろきですね。
愛情をこめて使われることも多い
だらは、親しい相手には愛情やからかいをこめて使われることが多い言葉です。
「だらやなあ」と笑いながら言うときは、責めるというより親しみの表れです。言葉のきつさだけで判断せず、表情や声の調子とあわせて受け取るのが大切です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。北陸で「だら」と耳にしたら、軽いたしなめや親しみの気持ちがこめられているのだと思い出してみてください。