今回は「どんど晴れ」という方言について解説します。
「どんど晴れ」とは、昔話を語り終えるときの結びの言葉で、「めでたしめでたし」にあたる方言です。

お話の最後にそっと添える、あたたかい締めくくりの言葉なんですよ。
主に岩手県の遠野(とおの)地方で使われます。
この記事では「どんど晴れ」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
どんど晴れとは?意味は「めでたしめでたし」
「どんど晴れ」の意味=昔話を語り終えるときの結びの言葉。「めでたしめでたし」「お話はこれでおしまい」にあたる
どんど晴れは、語り手が物語を語り終えたあとに最後に添える、決まり文句としての言葉です。
物語がよい結末で終わったことを示し、聞き手に「これでおしまいですよ」と伝える役目があります。
標準語の昔話でいえば、最後の「めでたしめでたし」とほぼ同じ位置にくる言葉です。
日常会話というより、昔話や語りの締めくくりに使われるのが特徴です。



この言葉を聞くと、いろりばたで聞いた昔話の余韻がよみがえりますね。
どんど晴れはどこの方言?
どんど晴れ=岩手県、とくに遠野(とおの)地方の方言
どんど晴れは、岩手県の遠野地方を中心に、昔話を語り終えるときの結句として古くから使われてきました。
遠野は民話や伝承の宝庫として知られ、語り部(かたりべ)の文化が今も残る土地です。
2007年のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)のタイトルになったことで、この言葉は全国にも知られるようになりました。
表記や発音にはゆれがあり、「どんとはれ」「どんどはれ」と言われることもあります。



朝ドラのタイトルで知ったという方も、きっと多いはずです。
どんど晴れの由来・語源
どんど晴れがどのように使われてきたのか、その背景を見ていきましょう。
語源:昔話の結びの言葉として伝わった
どんど晴れは、遠野など岩手で、昔話を語り終えるときの決まり文句(結句)として古くから伝わってきた言葉です
語り部が物語を語り終えると、最後に「どんど晴れ」と添えて、話に区切りをつけてきました。
物語がよい結末で終わったことを示す言葉として、聞き手とともに昔話の世界をそっと閉じる役目を果たしてきました。
細かな成り立ちには諸説あり、はっきりとした語源は分かっていない部分もあります。



「晴れ」という字に、物語がすっきり終わる気持ちよさが重なって感じられますね。
「どんとはれ」など言い方の違い
地域や語り手によって「どんとはれ」「どんどはれ」などの言い方の違いがある
話し言葉として伝わってきた言葉のため、地域や語り手によって発音や表記にゆれがあります。
「どんとはれ」と語る人もいれば、「どんどはれ」と語る人もいて、どれが正しいと一つに決めにくいのが実情です。
どの言い方でも、昔話の結びの言葉であるという役目は同じです。



どの言い方でも、地元では同じ締めの言葉として通じるよ。
どんど晴れの使い方・例文
「どんど晴れ」を使った場面を見ていきましょう。
昔話の締めくくりや、語りにまつわる会話で使われます。
使用例① 昔話の締めくくりに添える
おばあさんが孫に昔話を語り終える場面です。



…そうして二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。どんど晴れ。



(お話、終わったんだね)おばあちゃん、もういっこお話して!
使用例② 語り部の語りを聞く
遠野で語り部の昔話を聞いた人どうしの会話です。



最後の「どんど晴れ」で、昔話の世界からふっと戻ってきた感じがしたよ。



あの結びの言葉があると、お話がきれいに終わる気がしますね。
使用例③ 朝ドラの話題で
朝ドラのタイトルから言葉を知った場面です。



「どんど晴れ」って、朝ドラのタイトルだと思ってたけど、もともとは岩手の言葉だったんだね。



そうなんです。遠野の昔話の結びの言葉が、ドラマで全国に知られたんですよ。
どんど晴れの類義語や対義語
どんど晴れの類義語と対義語についても見ていきましょう。
どんど晴れの類義語
どんど晴れに近い標準語や、他地域の昔話の結句には下記のものがあります。
めでたしめでたし(標準語)
めでたしめでたしは、昔話がよい結末で終わったことを示す、標準語の結びの言葉です。どんど晴れと同じ位置で使われる、もっとも近い言い方です。



昔話の最後でおなじみの、聞き慣れた言葉ですね。
とっぴんぱらりのぷう(秋田の結句)
とっぴんぱらりのぷうは、秋田で使われる昔話の結びの言葉です。どんど晴れと同じく、お話の終わりに添える独自の結句です。



語感が楽しくて、一度聞くと忘れられない結びですね。
いきがぽーんとさけた(各地の結句)
昔話の結びの言葉は地域ごとに多彩で、「いきがぽーんとさけた」のような独自の結句も各地に伝わっています。どんど晴れも、その一つにあたります。



土地ごとに違う結びの言葉があるなんて、おもしろいね。
どんど晴れの対義語
どんど晴れには、ぴったり当てはまる対義語はありません。
あえて対になる言い回しを挙げるなら、話の始まりに使う「むかしむかし」が、終わりの言葉である「どんど晴れ」と対をなします。



「むかしむかし」で始まり「どんど晴れ」で終わる、と覚えると分かりやすいですよ。
どんど晴れの豆知識・ちょっといい話
どんど晴れをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
朝ドラのタイトルで全国に広まった
どんど晴れは、2007年のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)のタイトルになり、全国に知られるようになりました。
それまで遠野など岩手の昔話の中で使われてきた結びの言葉が、ドラマをきっかけに、多くの人の耳に届くようになりました。



地元の結びの言葉が、こうして全国へ広がっていったんですね。
遠野は『遠野物語』の舞台
遠野は、柳田國男(やなぎたくにお)の『遠野物語』の舞台で、民話・伝承の宝庫として知られています。
河童(かっぱ)や座敷童(ざしきわらし)など、数多くの伝承が今も語り継がれ、語り部による昔話を聞ける場も残っています。どんど晴れは、そうした語りの文化に根づいた言葉です。



昔話がいきいきと残る土地だからこそ、結びの言葉も大切にされてきたのですね。
全国にある多彩な結びの言葉
昔話の結びの言葉は地域ごとに多彩で、秋田の「とっぴんぱらりのぷう」など、各地に独自の結句があります。
同じ「お話はおしまい」という意味でも、土地によって響きや言い回しが違うのが、昔話のおもしろいところです。どんど晴れも、岩手・遠野に根づいた結びの言葉として受け継がれています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「どんど晴れ」と耳にしたら、岩手・遠野に伝わる「めでたしめでたし」の言葉だと思い出してみてください。