今回は「漁夫の利」という故事成語について解説します!
「漁夫の利」とは、二人の者が争っている間に第三者が利益を横取りする、という意味の言葉です。

「漁夫の利を得られた」みたいに使うよ!
漁夫の利(ぎょふのり)と読むこの言葉は、中国の歴史書の一説が由来の、古くから使われている言葉です。
この記事では「漁夫の利」という言葉の詳しい意味や発祥、使われ方などについても深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ!
漁夫の利とは?意味は「二者が争っている間に、第三者が利益を横取りすること」
「漁夫の利」の意味=二者が争っている間に、第三者が利益を横取りすること
漁夫の利とは、二者が争っている間に第三者が利益を横取りする、という意味の故事成語です。
(故事成語=遠い昔の出来事などを元にした、今に伝わる由緒ある言葉)
他人が争っていることを利用して、楽をして利益を得ること言います。
争っている状況がないと使わない表現です。
意味合いからして悪知恵がはたらいている印象を受ける、少しネガティブなイメージを持ち合わせたことわざです。
会話の中で使う際は、周りの状況にも配慮して使うほうが良いかもしれませんね。



争っている人たちがいるから使える言葉なんですね
漁夫の利の元ネタは「シギ(鳥)とハマグリ(貝)の争い」
「漁夫の利」の元ネタ=中国の歴史書の中に出てくる、シギ(鳥)とハマグリ(貝)の争いの話
「漁夫の利」とは、中国の思想家たちが演説をした言葉を集めた歴史書、「戦国策・燕策」に出てくる寓話からきていると言われています。
その寓話の内容はこうです。浜辺でハマグリ(貝)が貝殻を開けていたところにシギ(鳥)がやってきて、その身をついばもうとしました。
ハマグリは食べられないように貝殻でシギのくちばしを挟んで、水の中に引き込もうと立ち向かい応戦しました。
そんな両者が争っている所に漁師が現れ、ハマグリもシギも簡単に捕まえられた(漁師の利益になった)というものです。
もとは、「鷸蚌の争い、漁夫の利になる」(いつぼうのあらそい、ぎょうふのりになる)と言われていました。
鷸はシギ(水鳥)、蚌は二枚貝のことです。
この寓話が元となり、無駄な争いをしている間に、第三者に付け入れられることへの注意喚起として、この言葉が使われるようになったと考えられます。



漁夫の利って、中国の古くから伝わる”教え”みたいだね。
漁夫の利の使い方・例文
「漁夫の利」という言葉を使った例文を見ていきましょう。
使用例①



〇〇君とトップを争って妨害し合っている間に、▲▲君に先にゴールされちゃったよ



▲▲君、漁夫の利だったね
使用例②



さっき、お兄ちゃんとお菓子の取り合いっこでじゃんけんをしてたら、お姉ちゃんがそのスキに食べちゃったの



まぁ漁夫の利されたのね
使用例③



フリマサイトで値下げの交渉合戦をされている服、すぐに買っちゃった



漁夫の利ね。先に買ったもの勝ちだもんね
漁夫の利の類義語や対義語
「漁夫の利」の類義語と対義語についても見ていきましょう!
漁夫の利の類義語
「漁夫の利」の類義語としては下記のものがあります。
犬兎の争い
二者が無駄な争いをしている間に、第三者が利益を得ること



マラソンで一位争いをしていた二人が道を間違えて、三番手の私が一着になりました。まさに犬兎の争いですね!
濡れ手で粟
苦労せず利益を得ること



友達のテストの予想が当たっていて、教えてもらった私もスラスラ解けた!まさに濡れ手で粟だったよ!
棚からぼた餅
思いがけない幸運を得ること



棚からぼた餅で私まで景品をもらえちゃった!
漁夫の利の対義語
「漁夫の利」の対義語としては下記のものがあります。
二兎追うものは一兎も得ず
欲張って二つの物事を成功させようとしても、どちらも失敗に終わること



どちらにもいい顔をしていたら、どちらにも振り向いてもらえなかったです。二兎追うものは一兎も得ずですね・・・
虻蜂とらず
欲張りすぎて失敗すること



二つの料理を同時進行していたら、どちらも失敗しちゃった。虻蜂とらずね。
花も折らず実も取らず
欲張って両方取ろうとしても、結局どちらも得られないこと



おやつ何にするか迷っていたら、休憩時間が終わっちゃった。花も取らず実も取らずだったな
漁夫の利の豆知識・ちょっといい話
漁夫の利を、もっと面白く知れる小話を紹介します。
もとは戦争を止めるための「説得のたとえ話」だった
シギとハマグリの寓話は、実際の外交交渉で使われた説得の一場面でした。
『戦国策・燕策』では、趙が燕を攻めようとしたとき、燕の使者・蘇代(そだい)が趙の恵文王のもとを訪れます。そこで「趙と燕が争って国が疲れれば、強国の秦が漁夫の利を得るだけですよ」とこの寓話を語り、王に侵攻を思いとどまらせたと伝わります。動物同士の争いの話ではなく、国と国との駆け引きを止めた一言だったのですね。



戦を止めるための、外交の切り札だったんですね。
実は「漁父の利」と書くのが原典に忠実
『戦国策』の原文では「漁父」、日本で定着したのは「漁夫」の表記です。
「父」は年配の男性を敬って呼ぶ字で、原典では「漁父(ぎょほ)」と書かれていました。日本語に広まる過程で、職業を表す「夫」を使った「漁夫」がすっかり一般的になり、今ではこちらが標準の書き方とされています。同じ言葉でも、字の選び方に歴史が残っているのが面白いところです。



字が違っても、たどると同じ故事につながるんだね。
英語では「犬と骨」でよく似た言い回しがある
英語にも、争いに乗じて得をする様子を表すことわざがあります。
「Two dogs fight for a bone, and the third runs away with it.(二匹の犬が一本の骨を争ううちに、三匹目が持ち去る)」という言い回しは、まさに漁夫の利と同じ発想です。もめごとに便乗する意味では「fish in troubled waters(荒れた水で魚を釣る)」も使われます。国が違っても、似た戒めが言葉に残っているのですね。



犬の話になっているのが、日本の犬兎の争いにも似ていますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「漁夫の利」の意味を正しく押さえて、日常や会話でぜひ使ってみてください。