「ずつない」ってどこの方言?意味と古語「術無し」が語源の話

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今回は「ずつない」という方言について解説します。

「ずつない」とは、苦しい・つらい、とくに満腹で胸やおなかがしんどい様子を表す方言です。

「食べすぎてずつない」のように、おなかが苦しいときによく使われる言葉なんですよ。

主に近畿・中国・四国地方を中心に、西日本の広い範囲で使われます。

この記事では「ずつない」の意味やどこの方言か、由来・語源、使い方、類義語まで深掘りしています。

興味がある方は記事の続きへどうぞ。

目次

ずつないとは?意味は「苦しい・つらい」

「ずつない」の意味=苦しい・つらい。とくに満腹で胸やおなかがしんどい

ずつないは、苦しい・つらいという意味で、おおむね満腹で胸やおなかがしんどいときに使われます。

標準語の「苦しい」「つらい」にあたり、体調や気分がわるいときにも使われます。

とくに「食べすぎておなかが苦しい」「胸がつかえる」といった場面でよく登場するのが特徴です。

「ごちそうを食べすぎてずつない」と言えば、満腹で動けないほど苦しい様子が伝わります。

満腹のしんどさを、ひと言で言いあらわせる便利な言葉ですね。

ずつないはどこの方言?

ずつない=近畿・中国・四国を中心に、西日本で広く使われる方言

ずつないは、近畿・中国・四国地方を中心に、西日本の広い範囲で使われる方言です。

兵庫や和歌山などの関西、岡山・広島といった中国地方、四国などで耳にします。

さらに、岐阜・三重といった東海地方の一部でも使われ、地域によっては胃もたれのことを「ずつない」と言うこともあります。

ひとつの県だけでなく、広い範囲に根づいている点が、この言葉の特徴です。

ひとつの県にとどまらず、西日本に広く使われているんですね。

ずつないの由来・語源

ずつないの由来には、古語にさかのぼる語源の話があります。順に見ていきましょう。

語源:古語「術無し」から来た説

有力説=古語「術無し(じゅつなし・ずちなし)」が変化したという説

ずつないの語源は、古語の「術無し(じゅつなし・ずちなし)」だとする説が有力です。

「術(じゅつ)」とは「手だて・方法」のことで、「術無し」は「どうにもならない・なすすべがない」という意味でした。

どうにもならないほど苦しいという感覚から、「ずつない」という形に変化したと考えられています。

「なすすべがない」が「苦しい」に変わるとは、納得のいく流れですね。

「気ずつない」など別の説や関連語

ほかにも諸説あり、「気ずつない=心苦しい」という関連語もある

ずつないには、立っていられないほどという意味の「ずくなし」から来たとする説など、諸説があります。

また、「気ずつない」という言い方もあり、こちらは恥ずかしさや申し訳なさで気が滅入る、心苦しいという意味で使われます。

体の苦しさだけでなく、心の苦しさも表せるところに、この言葉の奥行きがあります。

体だけでなく、心の苦しさまで言いあらわせるんですね。

ずつないの使い方・例文

「ずつない」を使った会話を見ていきましょう。

満腹のときや、体がしんどいときに使われることが多い言葉です。

使用例① 食べすぎたとき

ごちそうを食べすぎてしまった場面です。

ああ食べすぎた、おなかがずつないわ、もう動けん。

(満腹で苦しいのね)少し休んでから、ゆっくり片づけましょうか。

使用例② 体調がすぐれないとき

胸のあたりが苦しいと感じている場面です。

なんだか胸がずつないんよ、ちょっと横にならせてもらうわ。

(つらそうね)無理せず休んで、ひどいようなら病院へ行きましょう。

使用例③ 心苦しさを伝えるとき

世話になってばかりで気が引けている場面です。

そんなに気をつかってもろうて、なんや気ずつないわ。

(恐縮しているのね)気にせず、どうぞ遠慮なさらないでください。

ずつないの類義語や対義語

ずつないの類義語と対義語についても見ていきましょう。

ずつないの類義語

ずつないに近い標準語や、他地域の似た方言には下記のものがあります。

苦しい・つらい・しんどい(標準語)

苦しい・つらい・しんどいは、体や心がきついことを表す標準語です。ずつないと近い意味ですが、ずつないはとくに満腹のしんどさによく使われます。

「ずつない」は満腹の苦しさを表すのが得意な言葉なんですね。

えらい(東海・関西の方言・しんどい)

えらいは、東海や関西などで使われる「しんどい・疲れた」を表す方言です。体がきついという点で、ずつないと場面が重なることがあります。

西日本には、しんどさを表す言葉がいくつもあるんですね。

せつない(標準語・胸が締めつけられる)

せつないは、胸が締めつけられるようにつらい様子を表す標準語です。ずつないの心苦しさという面と、近いひびきを持っています。

体の苦しさと心の苦しさ、両方に近い言葉があるんですね。

ずつないの対義語

ずつないは苦しい・つらい様子を表す言葉なので、反対は楽でここちよい様子を表す言葉になります。

標準語の「楽(らく)」「すっきり」が、ずつないと反対の感覚にあたります。苦しさがなく、体も心も軽い様子をさします。

ずつない満腹のあとに感じる「すっきり」は、ことさら気持ちいいでしょうね。

ずつないの豆知識・ちょっといい話

ずつないをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。

語源は「なすすべがない」という古語

ずつないの語源とされる「術無し」は、「どうにもならない・なすすべがない」という意味の古語です。

苦しくてどうしようもない、という感覚がそのまま言葉になったわけです。日常のなにげない方言に、古い日本語が生きている一例だと言えます。

ふだん使いの方言に、古語が息づいているのは素敵ですね。

「胃もたれ」を表す方言としても知られる

地域によっては、食べすぎたあとの胃もたれを「ずつない」と言うことがあります。

胃もたれの呼び方は地域によってさまざまで、ずつないもそのひとつとして知られています。同じ症状でも、土地ごとに言葉が変わるのはおもしろいところです。

同じ胃もたれでも、地域で呼び名が変わるのは興味深いですね。

明日から使えるプチ知識:西日本の方が「ずつない」と言ったら、たいていは「満腹でおなかが苦しい」という意味です。「気ずつない」となると「心苦しい・申し訳ない」の意味になるので、体の苦しさと心の苦しさの両方に使える言葉だとおぼえておきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。西日本で「ずつない」と耳にしたら、どうにもならないほどの苦しさを表しているのだと思い出してみてください。

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