今回は古文単語「いみじ」の意味について解説します。
「いみじ」とは、程度がはなはだしいことを表す古文の形容詞で、文脈によって「すばらしい」にも「ひどい」にもなる言葉です。

テストに出たけど、いい意味か悪い意味か分からなかった…。
動詞「忌む(いむ)」と同じ流れを持つ言葉とされ、「忌み慎むほど程度が並々でない」という感覚から生まれたといわれます。
この記事では「いみじ」の意味や活用、訳し分けのコツ、使い方、類義語まで深掘りしています。
興味がある方は記事の続きへどうぞ。
いみじとは?意味は「程度が甚だしい」
「いみじ」の意味=程度がはなはだしい(→文脈で「すばらしい」「ひどい」両方になる)
いみじは、ものごとの程度が並々でないことを表すシク活用の形容詞です。
程度がはなはだしいことが中心の意味で、そこから良い方向では「すばらしい・うれしい」、悪い方向では「ひどい・つらい・恐ろしい」と訳します。
連用形の「いみじく・いみじう」は、あとの言葉にかかって「たいそう・とても」と訳されることが多いです。



「程度がすごい」が真ん中の意味で、そこから枝分かれするんだね。
いみじの語源・成り立ち
「いみじ」の成り立ち=動詞「忌む(いむ)」と同じ流れを持つ語とされる
いみじは、「忌む(いむ)」の「いみ」を形容詞にしたものといわれます(諸説あり)。
「忌む」は、神聖なものや不吉なものを恐れて慎むことを表す言葉です。
「慎まなければならないほど程度がはなはだしい」という感覚から、良い・悪いの両方に振れる「いみじ」になったと考えられています。



もとの言葉をたどると、意味のはばが広い理由が見えてくるね。
いみじの使い方・例文
「いみじ」が古文でどう使われるかを見ていきましょう。
良い意味・悪い意味・程度を強める使い方の三つに分けて紹介します。
使用例① 「すばらしい」の意味(徒然草)
良い方向で使われる例です。「世は定めなきこそ、いみじけれ」は「世は無常であるからこそ、すばらしいのだ」と訳します。



ここの「いみじけれ」は、どう訳すの?



前向きな文脈だから「すばらしい」だね。
使用例② 「ひどい」の意味(源氏物語)
悪い方向で使われる例です。「あないみじ」は「ああ、ひどい」と、おどろきや嘆きを表します。



同じ「いみじ」でも、こっちは悪い意味なんだ。



つらい場面だから「ひどい」と訳すんだね…。
使用例③ 「たいそう」と程度を強める(竹取物語)
連用形であとの言葉にかかる例です。「いみじく静かに」は「たいそう静かに」と訳します。



「いみじく」のあとに動きが続くときは?



程度を強める使い方なので、「たいそう・とても」と考えれば大丈夫です。
「いみじ」の類義語や対義語
いみじの類義語と対義語についても見ていきましょう。
いみじの類義語
いみじの類義語としては下記のものがあります。
ゆゆし
ゆゆしも「忌む」の流れをくむ語で、程度のはなはだしさを表しますが、神聖さや不吉さ・恐れのひびきがより強い言葉です。



同じ「程度がすごい」でも、こわさが混じるのが「ゆゆし」なんだね。
いと
いとは「とても・たいそう」と程度を表す副詞です。品詞は違いますが、程度を強める働きが「いみじく」と重なります。



「いと」もよくテストに出てくる言葉ですね。
すさまじ
すさまじは「興ざめだ・殺風景だ」が中心の意味で、悪い方向の程度を表す場面で「いみじ」と近くなります。



悪いほうの意味だと、こういう言葉とも近づくんだ。
いみじの対義語
いみじは「程度がはなはだしい」こと自体を表し、その中に良い・悪いの両方を含むため、はっきりした対義語はありませんでした。
いみじの豆知識・ちょっといい話
いみじをもっと深く知れる、ちょっとした小話を紹介します。
一語で「最高」も「最悪」も表せる珍しい言葉
いみじは、良い意味と悪い意味の両方を一語で表せる、めずらしい言葉です。
これは中心の意味が「程度がはなはだしい」ことにあり、感動するほどすばらしい場面でも、言葉を失うほどひどい場面でも使えるからです。だからこそ、訳すときは前後の文脈で良い・悪いを見分けるのがコツになります。



一つの言葉が正反対の意味になるなんて面白い!
現代に残ったのは「いみじくも」
古語の「いみじ」が今も使われる形が、「いみじくも」という言い回しです。
「いみじくも」は「いみじ」の連用形「いみじく」に「も」がついた言葉で、「たいそう適切に・うまくも」という意味です。「暑さ寒さも彼岸まで、とはいみじくもいったものだ」のように使います。「偶然にも」の意味で使うのは誤りなので注意しましょう。



「いみじくも」は、ちゃんと意味を知って使いたいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。「いみじ」は文脈で意味が変わる言葉なので、訳し分けのコツを意識して古文の読解に役立ててください。